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しまして、一言ご挨拶申しあげます。

本日は、本フォーラム開催のご案内を差し上げましたところ、大変お忙しい中、多数のご参加を頂き、誠に有り難うございます。厚くお礼申し上げます。また、講師の岩田高知大学教授をはじめ、パネラーの皆様方のご協力に感謝を申し上げる次第であります。

さて、近年、地球温暖化問題が大きくクローズアップされてまいりました。地球上では、石油や石炭等の化石燃料を燃焼させてエネルギーを得ておりますが、その燃焼の過程で発生する二酸化炭素等の「温室効果ガス」によりまして、最近よく見聞きします「地球温暖化」が進行いたしております。

気候変動に関する政府間パネルの第二次報告書によれば、今の状態が今後も続くとすれば、21世紀末に地球全体の温度が1990年より約2℃、海面が約50?も上昇すると予測されております。海面の上昇による被害として、陸地の減少のほか、豪雨や渇水の増加、熱帯・亜熱帯地域での食料生産の低下、病気の蔓延などが懸念されているところでございます。

今日の社会は「自動車文明社会」であり、自動車の利用に大きく依存しております。世界に占める二酸化炭素排出量の日本の割合は4.9%であり、そのうち運輸部門は約2割であります。これらの87%を自動車が占めていることから、現在、全国で排出されている二酸化炭素の17%が自動車によるものとなっております。今後、輸送需要の増大に伴い、運輸部門の二酸化炭素排出量も益々増大し、何も施策を致しませんと2010年には1990年と比べて40%程度増加すると予測されております。

こうしたことから、運輸部門の内、特に自動車交通の分野で、現在の勢いでエネルギー消費が伸び続けると、道路沿いの地域での大気汚染や交通混雑といった問題だけでなく、地球規模の温暖化につながり、現在のモビリティの高い社会を維持していくことが困難になると認識されております。

ご案内のとおり、来月の1日から10日まで、京都において日本が議長国となって気候変動枠組条約第3回締約国会議が開催され、2000年以降の二酸化炭素等の排出削減目標について定める議定書の締結に向けた協議が行われる予定であります。これを機に国民一人一人が、社会経済活動の基盤であり豊かな国民生活を実現するため欠くことができない運輸と環境とが共生して行くことの重要性を十分に認識する必要がございます。

この問題は、頭ではわかっていても実感しづらいテーマでありますが、今日、極めて重要なテーマの一つでございますので、社会として全体的な取り組みが必要であり、また、個人個人が身近なところから取り組むべきテーマでございます。

本日のフォーラムでは、環境と調和した都市交通について、ご研究されております高知大学岩田教授の基調講演、全国に先駆けてトラック事業の省エネ問題に取り組まれておられる三豊運送株式会社北野車輌部長の大変に実践的な基調報告並びに有識者によるパネルディスカッションが予定されております。

素晴らしいメンバーの方々により本フォーラムを通じて、地球環境に調和した運輸のあ

 

 

 

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