環境、まちというものは、交通をなくして考えられません。CO2も20パーセントは運輸部門から出ております。そのうちの45パーセントが、私たちの乗用車から出ているということであります。私たちの生活そのもののあり方が、大いに関係してくるということでございます。しかも、まちというのは物の流れ、人の流れ――物流、人流という集結の場所として成り立っております。それらのあり方と環境とは、不可分であります。
和歌山は、史跡がたいへん多いところでございます。江戸時代の道標が和歌山市内にいくつか残っています。高野道であるとか根来道、あるいは淡島さんに行く道の道標などが、いまも残っているのです。これらに共通することはなにかと考えますと、信仰につながった道であるということです。その道を行き来した当時の人たちの姿――そういうものが、われわれの脳裏に浮かんでくるわけでございます。道すがらの人たちは、現地の人たちとどんな交流をしながら通っていったのか。旅の喜び、観光の喜びというものは、いまとどんなに違うものであったのだろうか。こんなことを想像することも、楽しいわけであります。21世紀を前にいたしまして、観光都市・和歌山のあり方ということも、環境とともに大いに考えてみなければならないと思うわけであります。
そんなとき、「環境・交通・観光」の三つをテーマに、みなさんといっしょに考えるシンポジウムを開いていただいたということは、たいへん時宜にかなったことではなかろうかと思っております。最後までみなさまがたといっしょに考え、すばらしい成果の得られるシンポジウムでありますことを心から祈念し、期待いたしまして、ごあいさつとさせていただきます。
村上伸夫
近畿運輸局長
本日の「環境シンポジウム IN わかやま'98」の開催を、心からお慶び申しあげます。
いまほども、知事さんあるいは市長さんからお話がありましたように、昨年の12月、京都でCOP3が開かれました。CO2関係の排出の国別の指針が決まったということでございます。ただし、条約が結ばれても問題はこれからであろうと思っております。
CO2の排出源としては、産業部門あるいは民生・家庭の部門が大きな比率を占めますけれども、運輸関係部門もそうとうの比率を占めている現状にございます。問題は、この運輸関係部門のCO2排出量が、ここ数年増加していることでございます。1億2千万の人口のわが国は、7,000万台にのぼる自動車を有しております。運輸部門におけるCO2の問題にこれからどう取り組んでゆくか、この実施がきわめて大きな問題であろうかと思います。