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が。安全もどっからか降ってくるもんだと、こういうわけです。自分でピストル持って守っているわけじゃないんです。お上がやってくれるもんだとこういう。ですから、これは、アメリカのマズローっていう人が考えたね、我々の欲求の構造なんですよ。一番ベースになっているのは衣食住だと。本能みたいなもんです。自由は別としてね、日本人は十分ですからね。その次重要なのは安全の欲求だっていうんですよ。僕これ見てわからなかった。そういうのあるのかなと思ってね。どうでしょう。だから我々安全ぼけしてるんです。誰かが我々の安全を保証してくれると。ところが長谷川先生のほうの社会学でもって、一関市と熊本県の人吉市という所で調査なさったんですね。「どういう町が住み易いですか」と。そしたら、「交通事故や災害がなくて安全な町」と。これが第一位なんです。改めて聞かれるとなるほどということあるんですね。この辺、僕ら少しぼけてるようですな。この辺をやつけなきゃいじめですよ、いじめです。こっちはね自我欲求っていうのが本当はこれは強いんです。

結局ですね、私申しあげたいのはですな、物の安全に対する整備というのは大体極限にきてるんじゃないかなと。社会も一生懸命やっております。個人的条件これがどうも、職業運転手さんは別として、もう少しこの辺個人教育というのを強める必要があるんじゃないかなと。ですから車の安全能力と同じように、個人の安全能力ね、それを高めなければならないような時代を迎えつつあるんじゃないかなと、こう思うわけです。そういう安全能力を高めて一体事故が減るのかと。また、経済効果がどの程度あるんですかと。

最新のデータ手に入れたんです。ご存知の方もいらっしゃいますが、職業運転手さんにこういう適性診断をやってアドバイスするわけですね。これ、各県にはございます。国の機関です。各県にございます。仙台にもございます。新聞に載った重大事故、新聞に名前が載りますからね。それを平成7年10月から平成8年9月まで1年間調べたわけです。全国で601人のデータが集まったんですな。601人のデータをみてみますというと、そういう適性診断を受けさせるような事業所、そういうように安全管理に熱心な事業所、そうでない受診してない事業所、その率は34%と65%だとこういうんです。

これね、そういう安全教育・適性診断なんかにあまり効果が無いとすれば5割5割になるはずですよね。ところが適性診断で色々自己管理やった結果、事故が少ないわけ、重大事故が。

それを全国一般事故に推定を及ぼしますとね、そして事故費の、保険料ね、保険料の支払い平均をそれにかけるわけですよ。そうするとね、年間全国で1千億円事故費が節約されたとこういう。そういう熱心な事業所は、個人管理に熱心な事業所は1千億円です。これね、宮城県に換算してみますとね、1年間に20億円、ちょっと大きいなと思うんですが、20億円だそうです。しかも、そういう適性診断でアドバイスを受けてない人は、受けた人の2倍事故が多いそうでございます。

現在は、個人条件の自己管理の時代を迎えつつあるんじゃないかなと、最後に、この点を強調して終わります。

 

 

 

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