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下落の考え方につながるわけです。そういったものを全部、土地の価格評価で予測していこうというのが、このへドニックアプローチの考え方です。

もう一つ、最近よくいわれているのが仮想的市場評価法(CVM)です。たとえば、ある環境にみなさんはどのくらいのお金を払いますか、ということを直接的に評価してもらう考え方です。最近新聞などでもCVMということが出ていますが、直接的にその環境を評価する考え方です。いま一般的に行われているものは、このへドニックアプローチとCVMという考え方で、環境にどれくらいの値段をつけたらいいかということです。

社会的費用算定方法は、環境というものをかつては外部的に評価しましたが、それを内部に取り込んでどう評価したらいいか、という考え方です。そういう内部的な取り組み方の評価の中で、へドニックアプローチとかCVMの考え方があるのです。社会的費用の軽減策で、さきほどのような評価をやっていきながら、実際にどういうかたちでわれわれは評価できるのか、ということを考えていくのが社会的な費用の軽減策です。社会的な費用をいろいろ計算しながら、実際にあるレベルの新しい環境負荷の軽減方法について議論していくのが、これからのやり方になると思います。この中には、例えば環境税とか炭素税をダイレクトに計算することも含まれるわけです。

新しい施策として非常に大きなポイントになるのが、最近いろいろ話題になっています交通需要管理という考え方、トランスポート・デマンド・マネージメント(TDM)という考え方です。いままでは交通施設を需要の伸びに対して一生懸命つくってきました。ある地域に新しい団地ができて、車を使う人がたくさん住むようになったので、そこから市街地までスムーズに行くためには、新しい道路が必要だとか、あるいは新しい軌道系が必要だということで、需要に見合った形で供給するという考え方でした。それをずっとやってきた結果が、いまのような混雑状態で、需要の伸びに対して交通施設の供給は追いつかなくなってきた。そこで最近出てきたのがTDMです。簡単に言うと需要も供給も一体となって総合的に考えていこうということです。交通モードの調整とか自動車以外の交通施策などが、交通需要管理の考え方であるという人もいますが、ここでは供給面で交通基盤の改善と整備を行いながら、全体を良くしていこうという考え方だとしていただきたいと思います。

実際のTDM計画でいくつかの実験が行われています。鎌倉で行った実験が、われわれの学会では例として非常によく出されます。鎌倉は非常に古い街で、土日になれば観光客の車でごった返します。なんとか街の中に車を入れないような管理はできないかと、パーキングを街の外につくりました。これは市民参加型の計画ということで注目されています。ある程度離れたところにパーキングをつくる、これをパークアンドライドと呼んでいます。パークアンドライドは札幌でも地下鉄の駅を中心に考えられています。交通需要管理は、供給サイドから需要サイドまでいろいろ考えられます。

 

 

 

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