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する。このQ %という数字がいま議論されている部分なわけです。アメリカとEUの間に非常に大きな差がありまして、その調整に苦慮している状態です。各国が一律に削減を目標とすべき、というところは同じですが、EUは具体的に15%削減を提案しています。アメリカの場合は特別出しておりません、そこでギャップが出てきています。最終的には、これをどう調整していくのかが、COP3の考え方になると思います。日本の場合は、その中間的なものにしようと調整していますが、どういう形のものを考えたらいいのか、これは非常に重要な調整です。

主な温暖化の防止対策が、地球温暖化問題関係審議会合同会議で提案されました。この中で、実質的な努力、インフラ整備、経済的な誘導、あるいは強制的措置という三つの項目が出ています。特に注目しなければならないのは、交通運輸に関する誘導と強制的な措置です。公共交通の整備によって車から公共交通へ誘導するとか、高速幹線システムの改善や道路建設で渋滞を緩和するとか、あるいは車の性能を2010年までに1995年比20%向上させるという具体的な提案が出ているのが注目される点です。

二酸化炭素は実際どういう形で、温暖化に影響を与えているのでしょうか。温暖化に影響を与えるガスがたくさん出ているわけですが、特に二酸化炭素はグローバルに考えても、64%の寄与度があるといわれています。その中で日本のウエイトがどのくらいかといいますと、アメリカの23%に対して日本は全体の5%です。これは二酸化炭素の発生量ということで考えた場合です。日本の場合、どういうガスが影響を与えているかというと、95%が二酸化炭素です。さきほどの64%に比べたら、ウエイトがかなり高くなっています。したがって日本の場合、これから二酸化炭素をどう押さえていくのか、つまり温暖化の軽減といいますか、そこをどう進めていくかがとても重要です。

運輸部門が吐き出している二酸化炭素の量は19.2%です。運輸部門は、温暖化に対する影響が大きいということが分かりますし、ますますウエイトが増していくと考えられます。しかも、乗用車あるいは貨物車など自動車の寄与するウエイトが非常に高い。およそ85%で、CO2 は自動車が吐き出しているということが、統計からいえると思います。ですから、自動車交通を減らすというのが、一番てっとり早い温暖化防止効果なわけですが、それにはなかなか難しい問題があります。

二つ目のテーマは、交通による環境負荷と社会的費用です。これをどう考えていかなければならないか、一つは自動車の排気ガスとその影響です。実際いろいろな考え方がありますが、自動車がいかに増えているかに注目しなければなりません。自動車の保有台数は急速に伸びていますし、走行台キロもかなり伸びています。おまけに運転免許の保有者数もけっこう伸びています。昭和55年の運転免許保有者数ですが、昭和55年から平成7年までのわずかな間に保有者数の分布がかなり変わってきています。今後20年間そのまま続くとしたらどうなるかというと、高齢者の保有者が非常に多くなります。いずれにしても、自動車社会がすぐになくなるということはなかなか

 

 

 

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