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基調講演

[21世紀の環境と運輸」

北海道大学大学院工学研究科教授 加賀屋 誠一氏

 

「21世紀の環境と運輸」をテーマに1時間ほどお話いたします。なにぶんこの問題にはいろいろなトピックスがありますので、1時間でまとめるのはなかなか難しいかと思いますが、いまどんなことを考えたらいいのかを中心にお話をしていきたいと思います。最初はグローバルなお話になりますが、環境問題と日本の位置づけということです。

これはポスト地球サミットの動きということです。ご承知のように、1992年にブラジルのリオで地球サミットがありました。その後はだいたい三つくらいの動きになるかと思います。1993年に日本で環境基本法ができました。これがわれわれのバイブルといいますか、基本的なスタンスになります。詳しいことは省略しますが、環境というものをいろいろな形で把握しようというものです。地球サミットを踏まえて、アジェンダ21への対応が基本的な方針になります。特に目標にかかわる指標の開発で、われわれはこれから21世紀に向かって、どういうかたちで環境を把握していったらいいかということを考えていく、そのための環境基本法の具体的な方法として環境基本計画というものが出てきています。

施策の展開はいろいろありますが、一つは循環ということが考えられます。もう一つは共生、それから参加、国際的な取り組み、共通基盤的な施策の推進ということです。五つの柱によって、これからの展開を考えていくのが環境基本計画です。二つ目の考え方は、アジェンダ21です。具体的にどういう形でアジェンダ21を運用したらいいかという議論がなされています。特に、いま盛んに議論されているのはパフォーマンス指標をどうつくるべきかということです。環境庁なども指標づくりを一生懸命やっています。ヨーロッパでは、13くらいの指標にまとめられています。このうち最初の三つは、いわゆる環境容量、つまり環境のキャパシティはどのくらいあるのかということです。他の10の指標は、生活の質をどう考えていくかということです。この13のパフォーマンス指標で全体を見ながら、地域の問題、国の問題を考えていくのがアジェンダ21の進む方向ということになっています。

三つ目は局長のごあいさつにありましたが、いわゆる地球温暖化防止の京都会議です。京都会議は俗称で、正式にはCOP3というのが開かれます。前回のCOP2では、対策を先送りしないという約束がありました。今回はその目標値をどう設定するのかが議論の中心になります。

こういった三つの考え方に基づき、具体的にいまこういうことが議論されています。2010年と考えていますが、CO2 の排出量の平均を1990年の水準からQ %以上削減

 

 

 

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