日本財団 図書館


二酸化炭素の量は、わが国の二酸化炭素の総排出量の約20%を占めています。また、1990年から1994年までの4年間の運輸部門の二酸化炭素排出量の伸び率は13.7%です。これは全部門を総合した二酸化炭素の排出量の伸び率である6.9%を大きく上回っている状況です。また、このままいきますと、2010年には、1990年に比べて運輸部門の二酸化炭素の排出量は、4割増加するという試算がなされています。運輸部門の中でも特に、自動車からの二酸化炭素の排出量は、運輸部門の88%を占めております。さらに自動車の中でも、自家用自動車は、運輸部門の二酸化炭素の排出量の3分の2に達している状況です。このような状況ですので、運輸部門における地球温暖化対策は緊急の課題です。

今年の4月には、運輸大臣の諮問機関である運輸政策審議会で、運輸部門の地球温暖化問題対応施策について取りまとめられました。これを受けて運輸省は、さまざまな施策を推進しています。ここでは環境問題を交通政策の中心課題の一つとして位置付けていくこととしておりまして、概ね2010年までの短・中期的な政策目標として、4つの重点施策を掲げています。一つ目は、自動車の単体対策、つまり個々の自動車から排出される二酸化炭素に着目して、低燃費車や低公害車の技術開発などを図ることです。二つ目はエコドライブの推進です。環境にやさしい自動車の使い方について、国民全体で取り組んで行こうという問題です。これについては、お手元にお配りしてあります資料の中に、リーフレットがありますので、後ほどゆっくりご覧くださればと思います。三つ目の重点施策は、公共交通機関の利用と、その整備促進です。例えば、バス輸送の活性化、利便性の向上といったことを通じて、マイカーから、よりエネルギー効率のよい公共交通機関へ人々を誘導することで、全体のエネルギー消費を削減して行こうというものです。四つ目は、物流の効率化の推進です。例えば、情報化などの導入で、トラックの運行の効率化を図って無駄な自動車の使用を減らしたり、いわゆるモーダルシフト、地域間の幹線輸送部分を、トラックから、より効率のよい鉄道とか船による輸送に切り換えていくというふうなことで、物流面でエネルギー効率のよい輸送を行っていこうというものです。こういった施策を運輸省として重点的に取り組んでいます。

さらに政府全体の取り組みとしましても、例えば運輸、警察、通産、郵政、建設といった省庁が協力をして、今年9月に運輸部門における今後の温暖化対策のあり方について取りまとめを行っています。

さきほど、目に見えない環境は見過ごされがちと申し上げましたが、地球温暖化の問題のように、対策が急がれる環境問題が、実はわれわれの目の前にあるわけです。そして、この問題の解決のために、いま世界中が努力しているところですが、なんといっても、ここに集まっています私たち一人ひとりの心掛けが大切です。例えば、エコドライブの推進にしても、また公共交通機関の利用の促進にしても、自動車のユーザーとして、公共交通機関の利用者としての私たち一人ひとりの自覚と実践が必要です。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION