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シンポジウムinほっかいどう97『環境と運輸の調和を考える』

主催者代表あいさつ

 

北海道運輸局長 松本 修氏

本日はみなさま、当シンポジウムにようこそいらっしゃいました。ただいまご紹介いただきました北海道運輸局長の松本でございます。今回のシンポジウムの実行委員長としてひとことごあいさつ申し上げます。

どこの川の水質がどうの、どこの湖が透明度が高いというふうな話を、日ごろからよくニュースなどで耳にいたしますが、こういった水のようなものにつきましては、例えば豊平川ではサケが戻って来たというように、その環境の変化の状況が目に見えるというふうなものであるわけです。

しかしながら、特に直接的に実感しずらいようなもの、目に見えないような環境問題、そういったものはついつい見過ごされてしまう現状があります。いま問題になっている地球温暖化の問題などがそうです。ある国際機関の報告によりますと、今のままですと、21世紀の末には、地球全体の温度が1990年のレベルに比べて、摂氏で2度上昇するといわれています。このことは、日本が今よりも南の方に300キロメートル移動するのと同じというふうにいわれています。このことだけであれば、寒がりの方にとっては、むしろ耳寄りな話かも知れませんが、海面も50センチメートル上昇するというふうにいわれています。今でも、日本の沿岸部の、海面のレベル以下の地帯、いわゆるゼロメートル地帯には200万人の人が住んでおりますが、海面が1メートル上昇すると、このゼロメートル地帯の人口が410万人に増えるといわれておりますので、ただ事では済まないことにります。

また地球温暖化によって、異常気象の発生、食糧生産の低下などの被害が起こるということも報告されています。

こうした状況を受けて、国際的には気候変動枠組条約が1992年に採択されました。先進国において、2000年までに地球温暖化の主な原因である二酸化炭素の排出量を、1990年のレベルに戻すこととされたわけです。しかしながら、わが国では、この実現が困難な状況となっているわけです。また、2000年以降の削減目標などを決めるため、この12月に京都で国際会議が開催されることになっております。私たちは21世紀、さらには22世紀に向けて、その時の子供たちに、この地球を残してあげられるかどうか。そういう大事な時期にきているといえるでしょう。

さて、運輸は、環境に密接に関連しています。騒音問題とか大気汚染の問題など、これまでもさまざまな問題が運輸に絡んでおります。日本海で起こったナホトカ号の事故のことは、みなさんの記憶に新しいことと思います。

この運輸の問題を、地球温暖化の観点から見てみますと、運輸部門から排出される

 

 

 

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