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あとがき

 

災害発生の第一原因として、もっとも多く現れるのは、ほとんどの場合人間ならではの不安全行動である。

むろん、その背景にある不安全状態(作業環境)も含め、無軌道に走りがちな人間の特性を、ある枠組みにはめ込むという定型化した作業方法を選択させることでコントロールし、より高い安全性を追求するのが安全作業の標準化である。

作業標準とは、作業を行う際の「最適」な方法を示したものであるが、あらゆる事態を想定した対処方法をマニュアル化するということは容易ではない。

この困難性をいかに排除し、実効あるものにしてゆくか、この鍵は標準書作成の出発点にあるかと思われる。

"守られる作業標準″は、作業者全員が納得ずくでなくてはならず、見やすく、分かりやすく、使いやすく、そしてなによりも実行しやすく作られていなければならない。

マニュアルの利用者が熟練者であるほど、従いたがらない傾向とか、一般的な労働人口の高齢化、あるいは、職業が即、新人教育の場になっている実状等々、多様化した作業方法に対応した作業標準が求められる所以である。

この度は、まき網漁業を選び、その船団操業の成り立ちや作業工程を調査検討して作業の標準化策定の足がかりを示したが、実際の現場で使用される標準書は、それぞれ固有の作業手順を可能な限り細分化したものでなければならないし、しかも個々の作業手順が、作業チーム全体に連動して機能することが絶対条件となろう。

今日、漁業においても、流動する水産情勢の中で、従来の様式による作業標準では機能しずらくなっている面も多々あるであろう。

本報告書を踏み台として、きめ細かく持ち味豊かで実用的な作業の標準書を多くの現場で作成されることを願ってやまない。

 

 

 

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