放置艇対策条例の制定について
広島県では、プレジャーボートの不法留や地域振興への活用を探るために11月21日「プレジャーボートによる海洋性レクリエーションを活用した地域振興方策調査広島地区検討委員会」を発足県庁で初会合を開催した。
この委員会は、国が本年度、広島県と新潟県をモデル地域にしたことを受け、来年3月をめどに「係留・保管モデル計画」を策定するため、海上保安大学校の広瀬肇教授を委員長に国や県のほか、日本マリーナ・ビーチ協会、広島地区小型船安全協会などの代表14名で構成され、県が全国に先駆けて制定の準備をしている「放置艇対策例」を柱に、モデル計画を策定していくことを確認。将来の予測を踏まえ、放置規制区域の設定等について協議して、地域振興につながるプレジャーボート等小型舟艇を活用したイベントや施設の整備について検討する。
昨年度、県の調査では、県内のプレジャーボートは一九一三一隻。うち放置艇は一七〇六六隻(89.2%)が確認され全国第二位の静岡県の九二三一隻(74.4%)を大きく引き離し全国ワースト1となっている。半面、収容施設の空き具合を合計した収容余力隻数も五九一隻で放置艇の3.5%で到底収容し切れない現状となっている。
「放置艇対策条例」はボートの所有者に保管状況等の届出義務を課し、届出済証を張らせる。放置艇を強制的に移動させる区域を設ける等盛り込んで来年に二月、県議会に条例案を上程する事になった。
このことは、単に広島県のみの問題ではなく、全国的に「放置艇対策条例等」の制定化が大きな課題となってくる。
平成9年7月現在、全国で9か所の地方公共団体において、既に、放置艇対策に関する条例・要綱等が施行されており、中四国地方では、岡山県が平成3年12月に「岡山県プレジャーボート対策要綱」を施行している。
当協会としては、プレジャーボート等小型船舶のユーザーの団体としてこれらの諸問題に積極的に関与して行かねばならない。
全国的に存在するプレジャーボートの隻数は、平成8年3月末で、34.2万隻と推定されているが、昨年度運輸省、水産省、建設省の3省庁合同によるプレジャーボートの係留・保管実態調査によれば、現存すると想定される34.2万隻のうち20.8万隻が把握された。確認艇数の県別全国順位ベスト1が広島県の一九一三一隻、2位静岡、3位岡山一一八八〇、4位長崎、神奈川、兵庫、愛知、と続き8位愛媛七四五九隻、9位香川六八一四隻、10位山口六七四五隻と瀬戸内海・宇和海を抱える5県のすべてがベスト10に入ってその合計は、五二〇二九隻で全国の25%を占めている。
一方放置艇数は、全国で一三八一九四隻その放置率は66%である。
県別では、広島一七〇六六隻、岡山八一三二隻、愛媛五四六七隻、香川三六三四隻、山口五五八四隻、合計三九八八三隻で全国の28.8%を占め当協会管内5県の放置率は76.6%と高くなっている。