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新刊図書案内

「海国の読み方」

 

沓名景義・坂戸直輝 著

 

A5版 153ページ 舵社 二、〇〇〇円

1997年1月発行(第3版)

 

1. はじめに

近年における生活水準の向上、労働時間の短縮、余暇活動に対する国民の考え方の変化などに伴い、ヨット・モーターボートを初めとする海洋レジャーは、広く普及し新しいライフスタイルの一部として国民に定着しつつある。

これは海に生きる国、日本としては喜ばしいことではあるが、海は、陸と比べて天候が変わりやすいうえ、海潮流があり、また暗礁など危険も多く、海洋レジャーを楽しむには、海と船を正しく理解し、その恐ろしさを心得ておく必要がある。

実際問題、海洋レジャーに伴う海難事故は後を絶たず、要救助船舶のうち約3割をプレジャーボート等の小型船舶が占め、その原因の多くが船舶運航に必要な基礎知識、技術の不足、気象・海象に対する不注意など人為的な要因にあるとされている。

陸の上のドライブにおいても、地理情報をはじめ、いろいろな情報を得るのにロードマップ、カーナビなど地図の有効性はいうに及ばない。

海におけるロードマップは、海図であるが、その有効性や必要性は、陸の場合と比べものにならない。これは、陸上では事物を、目で直接確認することができるが、海では海面下の様子は直接、目で確認できないなど、海図をたよりに船を進めざるを得ないからである。

このため、海上では、船種、航海区域、船の大きさなどにより、航海区域の海図を船舶に備えて置くことが法律で義務づけられている。

″海図なき日本丸の航海″というような比喩で、海図が新聞の見出しに登場することがある。これはまさしく、海の航海において海図は航海者にとっての指針であり、いかに重要な道具であるのかを例えた表現である。

このように重要な海図であるが、海図にはいろいろな約束ごとがあり、またいろいろな、記号や略語が使われ、あらかじめ、その読み方に慣れ親しんでおかないと、判読しにくい面がある。しかし、このような海図の解説書のほとんどは、大型船や専門家を対象としたものである。

この点で、本書は小型船・プレジャーボートを対象として、初心者にも分かりやすく解説しており、価格も求めやすいので紹介することにした。

 

2. 本書の内容

目次は以下のとおり。

第1章 水路図誌

第2章 海図

第3章 海図図式

第4章 船舶交通安全通報及び海図の改補

第5章 海図の見方・使い方

第6章 航路標識

第7章 潮汐・潮流及び海流

第9章 小型船、プレジャーボート用水路参考図誌

 

第1章では、水路図誌とは何かについて、第2章では、海図の分類、海図の図法、海図の図裁内容、海図の誤差について記されている。海図の図裁内容では、方位、経緯度、水深、底質、等深線、航路標識、潮流、海底危険物、海上の区域(港界、投錨禁止区域、土砂捨場など)について、海図の誤差では、海上位置決定上の誤差、測量、海図編集上の誤差についての解説がなされている。

第3章では、海図図式について記され、これは海図を作製するため細

 

 

 

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