日本財団 図書館


4.2 RADARSATの概要

 

RADARSATは1995年11月にカナダが打ち上げた地球観測衛星で、周波数5.3GHz(波長5.6cm)のC-Bandマイクロ波を用いた合成開口レーダを搭載している。SARは昼夜を問わず、また雲に覆われている海域についても海面の情報を観測可能であることが大きな利点である

表4.1にはRADARSAT衛星の諸元を示す。SARは大電力を必要とするため、太陽電池パネルに常時太陽光をあてることができるように、地方時6、18時の通過となる太陽同期軌道が選ばれている。同一地点への回帰日数は24日であるが、図4.4に示すように電波の入射角と観測範囲を変えた多彩なビームモードを用いることにより、同一地点の観測頻度は日本付近では約2日と短くなっている。

最も分解能の高いファインモードで観測した場合、50km四方の領域を約10mの分解能で観測することができる。広範囲の海氷観測に最適なScanSARモードで観測した場合には、500km四方の領域を約100mの分解能で観測可能である。図4.5にはScanSARの1日あたりの観測範囲を示す。極軌道衛星であるため、高緯度帯になるほど観測頻度は高まる。

観測後のデータ処理はカナダで行われるが、4.3節に示した2月8日の観測については、現場海域の海上保安庁巡視船「そうや」への速報提供の目的もあったため、urgent処理を要求した。この場合、朝6時に観測したデータはSAR解析処理を行った後、当日11時頃にはブラウズ画像がftpによって送信されてくる。経費的な面を別にすればルーチン的にも十分使用できる処理の速さと言える。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION