3.3 KoMMeDS-NFとCOADS.MSTGとの相互比較
ここでは、KoMMeDS-NFとCOADS.MSTGとを比較し、KoMMeDS-NFの妥当性を検討する。
先ず、図3.4〜5にKoMMeDS-NFの海面水温の海域別データ数と平均値を示す。また、図3.6〜7にKoMMeDS-NFと同期間(1890年〜1932年)のCOADS.MSTGの海面水温の海域別データ数及び平均値を示す。気温、風及び気圧についてのデータ数及び平均値は巻末資料に載せるが、2つの海洋気候データセット間の有意な差違は見あたらない。
次に、図3.8は2つの海洋気候データセットの緯度経度2度BOXの各月平均値を各要素毎に比較したものであり、データ数100個以上を対象にした。この図を見ると、要素毎にばらつきがみられるがKoMMeDS-NFとCOADS.MSTGはほぼ1対1の対応を見せている。特に気温と海面水温は相関係数が1に近く、ほぼ1対1の対応をしている。さらに、図3.9は緯度経度10度BOXの各月平均値を各要素毎に比較したものであるが、2度BOXの結果に比べ多少バラつくものの良い対応を示している。
全般的にKoMMeDS-NFのデータはCOADS.MSTGと大きく異なることはなく、海上気象データとして妥当性があると考えられる。なお、季節別の相関を巻末資料に載せたが、有意な差は見られなかった。
次に、図3.10は各海洋を代表しKoMMeDS-NFのデータ数が比較的多い5つの特定海域を示す。これらは、日本東岸付近(N30-N40、E140-E150)、ハワイ付近(N20-N30、W160-W150)、アラスカ付近(N50-N60、180-W150)、アメリカ西海岸(N30-N40、W130-W120)、インド洋(EQ.-N10、E80-E90)からなる。これらの特定海域について、KoMMeDS-NFとCOADS.MSTGデータから求めた月平均値の時系列図を作成した。図3.11〜13は日本東岸付近の気圧、気温、海面水温、風速、風速成分の月平均値とデータ数の時系列を示す。他の海域については巻末資料に載せた。
図3.11〜13によると東京付近ではCOADS.MSTGのデータは少ない。気圧については1920年以前はほとんどデータがなく、その他の要素についても今回QC済のKoMMeDS-NFデータよりも全般に少なく、特に第一次世界大戦(1914年〜1918年)のデータは少ない。
東京付近で絶対値を比較すると、例えば1916年〜1918年の海面水温はKoMMeDS-NFよりCOADS.MSTGの値が3℃程度高い(図3.12)。これは同じ10度BOX内においてKoMMeDS-NFとCOADS.MSTGの空間分布の特性が異なっていることを示している。気温や水温の水平分布傾度が高い地域のデータを取り扱うには注意が必要であるが、これまでCOADS.MSTGのデータ数が少なかった海域の気候値がKoMMeDS-NFを加えることにより更に充実したものになると言える。