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環境保全型の地域づくり「山形県遊佐町」

 

さて、パートナーシップによる地域づくりの具体例として山形県の遊佐町を紹介します。これはお手元の資料の中でも簡単に紹介していますし、時間がなくて詳しくはお話できませんが、月光川という川を中心に、水を大切にする地域に変えていこうという取り組みです。

70年代からずっと有機農業の米づくりに取り組んできた農協が、生活クラブ生協という都会の生協団体と提携し始めたのがきっかけとなって、土づくり水づくりに関わってきました。

1988年に川の上流にアルミ精錬工場ができて水質汚染が始まりました。それをどのようにしてここの市民が解決していったかというと、反対運動を展開して行政とも連携し、工場の移転を決めるところまでいったんですね。そしてそれだけにとどまらず、迷惑施設が二度と川にやってこないように自分たちでルールを作っていこうと、「月光川の清流を守る市民条例」まで成立させました。こういう動きに対して、生活クラブを通して都会でお米を買って食べている市民は2000万円の募金を集めて、月光川の水域を保全するための環境保全活動に役立ててもらう基金まで設立しました。これは、まさに地域住民と行政と遠くにいる都市の市民とがつながって行われた地域づくりだろうと思います。

 

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<経緯>

1968年  農協と生活クラブ生協が産直提携

1970年〜 有機農業の取り組みがスタート

「米作り」から「土づくり」へ

農協婦人部もせっけん運動をスタート

月光川清流保全の運動へ

1988年  上流郡にアルミ廃材再生処理企業が進出

騒音・悪臭等と共に川の汚染が問題化

1989年  農協が中心となって操業停止と移転を求める署名運動を展開→移転実現

1990年  「月光川の清流を守る基本条例」制定

募金で2000万の環境保全基金も設立

現 在  水質管理、魚類調査、生活廃水浄化事業、せっけん運動支援 などに広がっている

 

 

 

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