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司会者  皆様、おはようございます。GFRSセミナー第4回会合を始めさせていただきます。きょうは、朝日新聞記者の船橋洋一氏を講師にお迎えいたしまして、「アジア太平洋におけるニューレジーム」というテーマでお話をいただきたいと思います。それでは船橋さん、よろしくお願いいたします。

 

1. 講師報告

船橋  おはようございます。きょうは大変貴重な機会をいただきまして本当にありがとうございます。きょうの話は、最近のアジア通貨危機、それを踏まえてのレジームということについて、私なりの見方をご報告して、そこから読み取れる日本の課題のようなことをお伝えしたいと思っております。

年明け早々から1週間韓国に行ってまいりました。たまたまちょうどソロスが来ていたものですから、「次期大統領の金大中氏がわざわざジョージ・ソロスを自宅に招いて教えを請う」ということが、韓国のほとんどすべての新聞の1面トップで写真入りで報道されました。ソロス自身は、「金大中のような人がこれからいてくれるのであれば非常に心強い」ということで、高い評価をしていましたけれども、「彼のクオンタム・ファンドがいつ韓国をてじまったのか」と聞きましたら、96年の9月だと言っていましたから、さすがに1年前以上には大体てじまっているわけです。これからはIMF管理の下でのプログラムと、それを実際韓国政府の新政権がどこまでできるか、その辺についてらんらんと目を光らせているのだと思います。

私の友人の韓国の前アメリカ大使の話を聞きますと、「ソロスはけしからん。自分で仕掛けてアジアをめちゃくちゃにしておいて、それで教えをたれている」と、ものすごい手厳しい批判をしております。そのような批判がある一方、同時に元首相の一人は、「いや、そうではない。大中はマハティールを意識してわざわざソロスを呼んでいるんだ。自分はマハティールのようにソロス悪者論、ヘッジファンド悪者論というようなことではなくて、やはりマーケットと外国の投資、これがいかに重要であるかということがわかった指導者であるということを示すために、わざわざソロスをこういう形で呼んだのだ。それは韓国の国民に対しても、感情はともかくとして、今は少し頭を冷やせというメッセージも含まれている。これはなかなかのグッドポリティクスである」と言っ

 

 

 

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