行政手続法の論点
(1)行政手続法の意義
日米構造協議においてアメリカ側から行政手続の諸制度について様々な批判があった
批判の対象として:
1)行政処分
?@ 行政の処理(許認可を含む)の遅さ(行政の不作為)
?A 諾否の判断基準の曖昧さ (非公開)
?B 拒否された場合の理由が不透明なこと(理由付記が不十分)
?C 聴聞制度の存在と実態
2)行政指導:日本独特、貿易上の非関税障壁では?とされる
?@ 口頭による通達(外国企業にとっては不明瞭では?)
?A 組織法だけに頼り、明確な根拠規定がないことによる不透明さ
3)情報公開
?@ 情報公開条例と行政決定途上の文書公開の関係
◎ 各国の状況
先進各国では(米・独・仏等)行政の透明性・公正性を保つための法律として行政手続法を現在までに制定しているが、日本では過去約30年もの間、行政手続法制定の動きがあったものの結局制定までには至らず、1990年日米構造協議を受けて、外圧によりようやく制定された。
(2)行政手続法の内容
本法の目的:行政運営(行政指導・行政処分)に関する公正の確保と透明性の向上国民の利権、利益に資する
◎注目すべき点
・行政処分について
「標準処理期間」の設定と「不作為」の防止
審査基準と処理基準の公表
行政処分には理由を付ける
「聴聞」、その他の「弁明の機会」を求める
・行政指導について
世界的に初めて"行政指導手続法"を含む
行政手続法の中で最も重要といえるのが行政指導の“求めによる文書化”
行政指導不履行に対する嫌がらせの禁止
(3)行政手続法の問題点と課題
・行政指導の書面化の不徹底
・組織法令だけで行政指導が行われることへの疑問
・情報公開法の制定の必要性:自治体行政手続きにおける民主的効率の認識
・膨大な数の許認可権限を持つ官僚制の存在
・(行政指導に従わなかった場合の)嫌がらせに対する救済手続の不備
・行政参加手続法が抜けている:行政手続参加資格を積極的に認めるべき
以上