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中国においては、観光関係者がこの10年あまり営々として海外旅行者受入体制の改善の努力を重ねて今日の状況に至っている。1996年6月に開催された「WTOシルクロードフォーラム・西安」において、中国のシルクロード開発に対する積極的姿勢がフォーラムの参加者から高く評価された。中国のこの様な姿勢が中国国境を越えた中央アジア諸国等のシルクロード旅行の振興を推進することが期待される。

敦煌において、1996年10月にシルクロード観光促進委員会の委員長である樋口隆康氏が「観光振興と観光資源の保護」と言う演題の講演を行っている。

この講演において樋口氏は、『観光ということでいろいろな国へ行ってそこの素晴らしいものをみるということ、学ぶということ、これが私たちの今後の生活を豊かにする。敦煌の素晴らしい優れたものを中国の人は勿論、日本のみならず世界の人々に見てもらいたい。折角のもの(古代遺跡)にふたをして誰にも見せない、あるいは地下に埋めてしまうということになりますと、私たちが今考えております観光というものをシャットアウトしてしまうと言うことになって、その辺をどういうふうにお互いに共存させて行くかが問題になってくるかと思います』と述べている。

シルクロード旅行は中国国境を越えて中央アジア諸国を通り、イラン、トルコ、シリア、エジプト、ギリシャ等にも立ち寄り、最後にローマに到達すると言う広い広がりを有するものである。「サマルカンド宣言」においては、シルクロード旅行のコンセプトに従って沿道の諸国の観光開発が促進されることが期待されているが、いずれの国の観光開発も前述の樋口氏の理念に沿って推進されるものでなければならないものと思われる。

 

 

 

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