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が生じる可能性の感じられる場合すらあった。貴重な文物の撮影を禁じる代わりとなるきちんとしたブローシャー、絵葉書、スライド、記念品の整備や案内所、休憩、飲食、ショッピング等の施設の整備が望まれる。入場料も適正で分かりやすい料金体系に整備する必要がある。

5) ホテルの整備は着実に進展しているが、今後の観光振興のためには主要観光地点における国際水準の宿泊施設の量的な拡大が進められる必要がある。なお、従業員のサービスは決められたマニュアルに従って行われているが、ともすれば型式に流れがちな面もうかがわれる。案内、両替、連絡等利用者の便宜を高めるための従業員教育の徹底等も望まれる。

6) 博物館に収納され、展示されている文物は素晴らしいものが多数あるが、照明が暗く、展示が雑然としていて理解が困難な場合が少なくない。説明も中国語だけの場合が殆どで、海外旅行者にとって不便きわまりない。また、ブローシャー、絵葉書、スライド、記念品としてのレプリカ等を備えているものは例外的であった。場内の展示を分かり易く見やすいものとなるように整備し、少なくとも英文の説明を付記する事が海外旅行者を受け入れる上で不可欠である。ブローシャー等も英文のものが整備される必要がである。また、展示品の素晴らしいレプリカが記念品として妥当な値段で販売されていれば旅行者にとって素晴らしい土産品となる。

7) 食事はホテル内においてはバラエティに富んだ、一定の水準を満たしたものを取ることができるようになりつつあるが、移動途中の路傍のレストラン等において提供されるものは衛生水準に不安があり、単調になりがちで前述の休憩施設の整備と同様改善が必要である。

8) 土産品は、ナイフ、玉等特有のものは随所に見受けられるが、全国一律の同工異曲のものが大部分であり魅力に乏しい。少数民族の民芸品のデザインに工夫を加える等して土産品としての活用することが望まれる。料金の値引き交渉は旅の興趣を深めるという考え方もあろうが、言葉の不自由な状況では煩わしいものがあり、定価を明示することが買い物の便宜を高めるものと思われる。

9) ウィグル族の舞踊は優雅で素晴らしいが、新疆ウイグル自治区のどこに行っても同じ趣向では飽きてくる。新疆ウイグル自治区に居住する多くの少数民族の伝統芸能を発掘して観光資源として活用することが望まれる。

10) 日本語ガイドは、単に日本語が話せるだけでは、素晴らしい観光資源の本来有する魅力を旅行者に伝えることは困難であるので、歴史、文化等にも精通したガイドの育成に努めることが望まれる。

以上の諸事項に加えて、現在、旅行期間が夏期に限定されていることが旅行・観光業の安定した経営を困難にしていることは、ウルムチにおける観光促進セミナーにおいて中国側からも指摘されている。

今後の新疆ウィグル自治区の今後の観光振興を推進していく上で観光シーズンの通年化を推進することは重要である。このためには荒天時、視界不良時等の離発着可能な保安管制システムの整備とともに年間を通じて運行される定期航空路線網の充実強化、道路、鉄道等の交通手段の整備による主要観光地へのアクセスの改善、エアコン付きのバスの導入等による冬

 

 

 

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