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柳)(スライド109)、蔓草で綿毛が風になびいている狼蔓草(スライド110)、茎が節の連なりである節節草(スライド111)、大変小さな西瓜であるねずみ瓜(野西瓜)(スライド112(白い花)、113(赤い実))、楼蘭の家屋の建材として使われている胡楊(スライド114)、漢方薬に使われている麻黄(115)。

10数年前に中国のシルクロード旅行について検討したときは、広い地域に歴史文化資源が点在し、近代的なホテルは殆どなく、道路の状態も悪く、飛行場も未整備で、鉄道以外交通手段が無い状態であった。また、鉄道の切符を取るのもたいへんで、主要な観光地点間の移動に時間が著しくかかり、鉄道の駅から観光地までのバスも老朽化していて乗り心地が悪く、日本語のガイドも殆どいない、口に合う食事がとれない等と言うことで、一般の旅行者は西安を訪れるのが精々という結論であった。

これまでの3回の中国のシルクロードの調査では、10数年前とは様変わりしていることが判った。

空港、道路等の交通施設や通信施設の整備は目覚ましいものがあり、主要観光地間の移動の利便は年々改善されつつある。旅客輸送に使われているバスもエアコン付き、リクライニングシートの最新鋭のものが導入されつつある。

主要観光地におけるホテルは、24時間お湯が出て、清潔なリネンサプライがなされ、暖かい食事が提供される国際レベルのものが整備されてきている。

日本語ガイドの養成も順調に進み、意志疎通に齟齬がない状態になってきている。

兵馬俑、莫高窟、高昌故城、交河故城、キジル千仏洞などのよく知られた歴史文化資源に加えて、河倉城、楡林窟、魏晋墓、スバシ故城等の素晴らしいものが新たに観光資源として登場してきている。

この様な状況を踏まえて、中国内のシルクロード旅行が通年化し、限られた期間内に周遊して見て回れるようになり、多くの一般の旅行者が楽しめるようになる日も遠くないと感じられるようになっている。

しかし、そのためには国際水準のホテルの一層の整備、年間を通じての旅行を可能とする安全で快適な交通通信手段の整備、バス旅行以外の鉄道や航空利用の旅行の推進、安全で快適な旅行のための交通標識や交通規則の整備、トイレ、飲食、買い物等の利便を備えた移動途中の案内休憩施設の整備、旅行・観光分野の従業員のサービス水準の向上、魅力ある土産品の開発、民族芸能の発掘等による多様なアトラクションの開発、オリエンテーションセンターとしての博物館の整備等についてこれまで以上の改善努力が中国において行われる必要がある。

中国は1996年6月の「WTOシルクロードフォーラム・西安」において、他のシルクロード関係諸国の観光開発に自らの経験を踏まえて喜んで協力する旨の意志表示をしており、中国内のシルクロード旅行の振興する事が国境を越えて他の諸国の観光振興を推進していくことが期待される。

 

 

 

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