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城長城博物館、長城第一敦、懸壁長城、魏晋墓地下画廊、甘粛省博物館等の現地視察を行ない、観光資源としての評価も実施した。なお、敦煌においては、中国側旅行観光関係者に対して団長の樋口氏が「観光振興と観光資源の保護」に関する講演を行なった。

97年9月の調査においては、ウルムチ、トルファン、コルラ、クチャ、アクス、カシュガル等の各地の旅游局を中心とした関係者と意見交換を行った。特に、トルファン、コルラ、クチャ、カシュガルにおいてはウイグル人の踊りを鑑賞し、カシュガルにおいてはウイグルの民家の昼食にも招かれた。また、新疆ウイグル自治区博物館、高昌故城、アスターナ古墳、ベゼクリク千仏洞、葡萄溝、ウイグル民族館、カレーズ、交河故城、トルファン博物館、鉄門関、コルラ故城、巴州博物館、塩水渓谷、キジル千仏洞、クズルガハ狼煙台、クズルガ八千仏洞、キジ故城、スバシ故城、香妃墓、バザール、エイテガール寺院、職人街、カラクリ湖、三仙洞等の現地視察を行い、観光資源としての評価も実施した。また、北京においては歴史博物館の視察を行った。

なお、ウルムチにおいてシルクロード観光促進セミナーを開催し、新疆ウイグル自治区旅游局長 乃依木氏、団長 樋口氏、副団長 新井氏、新疆文物事業管理局長 岳峰氏、新疆航空公司営業部長 胡亜明氏、新疆中国国際旅行社副総経理 王威氏よりシルクロード旅行の振興、新疆ウイグルの観光・旅行事情等に関する講演が行われた。

北京においては、国家族游局の関係者と中国のシルクロードの観光振興についての意見交換を行い、これまでの3回の調査に対する支援について感謝の意を表した。

 

【現地事情】

これまでの3回の調査により、西安、河西回廊における旅行者受入体制は大幅に改善されてきており、約10年前には団体旅行者の受入れはかろうじて西安において可能であった状況から様変わりといって良い水準になってきている。

海外旅行者の主要受入先である敦煌、嘉略関、蘭州、西安、ウルムチ、トルファン、コルラ、クチャ、アクス、カシュガル等においては国際水準のホテルが整備され、熱いお湯のでる清潔なベッドのある鍵の掛かる部屋が提供されるようになっている。食事も温かいバラエティに富んだメニューとなっており、両替、郵便、ファックスなどのサービスの不備や係員のサービスがホスピタリティに欠ける場合が少なくないことを別とすれば、一応の満足は得られるものとなっている。

空港、道路、鉄道、通信等のインフラストラクチャーの整備は各地において迅速に進められており、近い将来において国際路線が開設され、シルクロード沿いの主要観光デスティネーションにアクセスすることがより一層容易になってくるものと思われる。また、主要デスティネーション間の移動もエアコンの整備された快適なバスの導入によって速やかになされうるようになりつつある。ただし、大型貨物トラックの頻繁な運行による路面の損耗は激しく、時に旅行の安全を脅かす可能性すら生じてきており、路面の維持管理、安全運行を促進するための施設の整備や交通標識の改善が必要である。一方、かつてはシルクロード旅行の唯一の移動手段であった鉄道は線路容量の整備が需要の増加に追い付かず、貨物輸送や国内旅客輸送への対応で精一杯となっている。マルコポーロ列車の運行などの努力はなされているものの、運行回数の限られていること、時間が掛かりすぎること、料金水準の高すぎることなどから海外旅行者にとって主要輸送手段とは言えない状況となっている。しかし、シルクロード旅行の多様化、利便性の向上などの観点からも鉄道旅行の観光面への活用が望まれる。

かつて皆無に近いといわれた日本語ガイドの養成も順調に進み、主要受入先においては今後増

 

 

 

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