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「シルクロード等開発途上国地域の観光交流促進調査事業」の今後の方向

―中国におけるシルクロード旅行の現状を踏まえて―

 

【経緯】

1994年10月にWT0及びUNESCOの共催で「シルクロード・プロジェクト」の会議がサマルカンドにおいて開催され、日本を含む関係の19ヵ国が参加した。同会議においては、今後関係者が官民協力してシルクロード旅行を推進していくことを盛り込んだ「サマルカンド宣言」が採択された。

これに呼応する形で、1995年10月に発足した(財)アジア太平洋観光交流センターが「シルクロード等開発途上国地域の観光交流促進調査事業」を取り上げることとした。同センターは1995年6月に大阪に開設されたWTOアジア太平洋事務所の活動を支援することを主たる目的のひとつとしている。

前記事業を促進するために、センターは「シルクロード観光促進委員会(委員長 樋口隆康シルクロード学研究センター所長)」を設置し、地域各国の交流動向等の基礎調査を行なうとともに、主要な観光地については、学識経験者、観光関係団体、地方自治体等の実務者からなる調査団を現地に派遣し、現地政府等に対して国際観光振興及びわが国との国際観光交流促進のための具体的政策提言、及び基礎的な情報収集をすることとしている。

なお、サマルカンド会議を受けて、1996年6月には「WTOシルクロード・フォーラム西安」が開催され、中国内のシルクロード振興のみならず、中央アジアを含めた多国間にわたるシルクロード旅行の推進が打ち出され、1997年1月の奈良シルクロード・トラベル・フォーラムにおいては、シルクロードの歴史文化資源やシルクロード旅行の現状と問題点について講演及び各国のシルクロード観光資源に関するプレゼンテーションが行なわれた。第2回のシルクロード・プロジェクトに関する会議は1997年4月にイランのテヘランにおいて開催され、文化交流の拡大、共同市場開発計画、新しい旅行商品の作成、商品の実用化等についてまとめと勧告を行った。

 

【現地調査の実施】

「シルクロード等開発途上国地域の観光交流促進調査事業」として、1996年2月から3月にかけて、北京、西安、蘭州の現地調査を実施し、同年10月には敦煌、嘉峪関、蘭州、西安の現地調査を実施し、加えて、1997年9月には新疆ウイグル自治区の、トルファン、コルラ、クチャ、アクス、カシュガル、カラクリ湖、北京等の現地調査を行った。

96年2月の調査においては、北京において国家族游局、在中国日本大使館、JICA中国事務所を訪問して本事業の趣旨、目的を説明して今後の協力を依頼し、西安、蘭州、ウルムチ等のおいては各省区の旅游局を中心とした関係者と意見交換をし、今後の本事業に対する協力についての了解をえた。また、西安城壁、華清池、兵馬俑、陝西省博物館、碑林、法門寺、炳霊寺石窟、白塔山公園等の現地視察を行ない、観光資源としての評価も実施した。

同年10月の調査においては、敦煌、嘉峪関、蘭州、西安の各地の旅游局を中心とした関係者と意見交換を行なった。特に敦煌から蘭州に至る河西回廊の食を探求するという受け入れ側の意向により朝食以外は全て異なる種類の食事を堪能させられることとなった。北京は日程的に余裕がないことなどにより立ち寄りのみとなった。また、莫高窟、鳴砂山、月牙泉、玉門関、河倉城、陽関、敦煌博物館、敦煌石窟文化財保存研究センター、楡林窟、橋湾城遺跡、嘉峪関関城、嘉峪

 

 

 

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