日本財団 図書館


ナンの存在は食事を変化に富んだものとしている。日本人旅行者に対しては量を少な目にして油を控え、野菜を増やす等の心配りがなされている。水もミネラルウォーターを容易に入手することが出来るようになっており、これを飲んでいる限りにおいて問題は殆どないこと。

? 日本語ガイドの養成が進み、案内、意志疎通が容易になってきていること。

? ホテル、主要観光地点において水洗便所の整備が進んできていること。

? 衛星通信、光ファイバー網等の整備が進み通信の利便が飛躍的に増して来ていることなどである。

しかし、今後より一層の観光振興を推進するためには、次のような事項の改善を図る必要がある。

? 国際的に競争力を有する魅力的な観光資源は歴史文化資源を中心にして多数存在し、また、新たな資源が相次いで登場しつつあるが、その広報が必ずしも十分ではなく、現場の案内システム等も十分であるとは言えない。また、新疆ウィグル自治区においては西に行くに従って、現在の住民が回教徒が大部分を占めることもあり、先住民族の仏教文化に対する認識が薄く、歴史文化資源が過小評価されていたり、埋もれたまま放置されていたりする傾向がうかがえ、これらの歴史文化資源の発掘、再評価を進めることにより観光資源はより豊かなものとなるものと思われる。主要な遺跡等について最低限英語の説明の付記は海外旅行者のために必要であり、写真撮影を禁じるかわりのものとしてのブローシャー、絵葉書、スライド等の整備も不可欠である。なお、海外旅行者と国内旅行者の料金格差を廃止するという施策は歓迎されるものであるが、未公開の遺跡も特別に拝観料を払えば見学できるというシステム等は合理的なものとは言えず、、歴史文化資源の重要度やその保存の困難に見合った合理的な料金体系を設定することが望ましい。

? 空港の整備、新鋭機材の導入による輸送力の増大は目覚ましいものがあるが、航空輸送網、特に国際航空輸送網の整備が遅れており、いつでもどこにでも行けると言う水準には程遠いものがある。現時点においては観光シーズンが限定されていることや航空交渉等の困難はあるものの、利用者にとって便利な航空輸送網やフリクエント・フライト・サービスの整備のための努力が望まれる。また、航空輸送の安全の確保のための管制保安施設の整備は不可欠である。

? 主要観光地点における国際水準のホテルの整備は年々推進されているが、量的には必ずしも十分なものではなく、今後とも整備の推進が必要である。なお、予約、受け入れ、案内、両替、郵送、電話、ファックス等のサービス面については従業員教育を徹底することにより一層の改善が望まれる。

? 昔はシルクロード旅行における唯一の輸送手段であった鉄道は、輸送容量の不足もあり、シルクロード列車の運行等の努力はなされているものの、一般の海外旅行者にとって利用が困難ものとなってきている。しかし、南新疆鉄道のカシュガルまで延伸工事等が精力的に行われており、主要観光地点間の移動をバスのみで行うことの単調さを救い、シルクロード旅行に新たな魅力を加えるという意味からも海外旅行者の鉄道の利用を促進するための施策が取られる必要がある。

? 主要観光地点間のバスによる移動は、道路整備の進展やエアコン付き(時にトイレ付き)、リクライニングシートの最新鋭のバスの導入によりかなり快適なものとなってきている、しかし、大型の貨物トラックの走行による路面の劣化は著しく、安全規制の不備、整備不

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION