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第5章 「中国シルクロード旅行」3回にわたる調査の纏め

 

1. 陝西省、甘粛省、新疆ウイグル自治区における観光関連施設の現状と今後の整備方向

 

(1) 国民経済・社会発展「九五」計画と2010長期目標

まず中国の第9次国民経済社会発展5ヵ年計画(1996〜2000年)及び2010年長期目標の概要の中からインフラ関連を含めて同国の観光開発・促進についての事項を取り上げてみる。

○ 物質文明と精神文明の共同進歩、経済と社会との釣り合いのとれた開発を堅持する。

○ 運輸は、鉄道輸送能力の増強を重点とし、道路・水上輸送・航空輸送・パイプラインなどの複数の輸送方式による総合輸送体系づくりを加速し、南北、東西に伸びる複数の大規模輸送ルートを形成する。

○ 通信は、一般通信網と専用通信網の各々の発展を図り、引き続き光ケーブルを中心とした通信幹線を建設して全国ネットの総合通信体系を形成する。

○ 2000年に9年制義務教育を基本的に普及させる。また教育の質と学校運営の効率を向上させるために、政府以外の学校運営形態を提唱し、非義務教育は徐々に授業料納付、職業の自由選択を実効するとともに奨学金などの制度を整備する。

○ 第三次産業の発展は、市場の育成促進、経済効果と効率の向上、資金・資源の需給の矛盾の緩和、雇用吸収力の増大などさまざまな効果をもつとされており、観光、情報、コンサルティング、技術サービス、法律サービス、会計サービス等の新興産業を積極的に発展させる。

○ 対外開放の範囲を拡大し、国内市場を一層解放する。

○ 国民生活:消費水準の向上、住宅と交通問題の解決、サービス産業の拡大、公共文化施設・福祉施設の整備、初級衛生保健の国民全員への普及、重大な疾病の予防・治療強化、農村の医療水準改善などにより、国民の物質・文化・生活水準を向上させる。

○ 雇用吸収先としての郷鎮企業・第三次産業・民間部門を発展させ、労働集約型事業・インフラ建設を増加させ、就業前訓練・職場研修制度の実行により労働の質を高め、規範化された労働市場の確立により労働力の合理的で秩序ある流動を促進する。

 

(2) 各省毎に観光開運施設の現状と今後の整備方向について、現地の旅游局の「九五」計画、航空会社から得た資料などに基づいてとりまとめると次のとおりである。

 

? 陝西省

1) 指導思想

・ 「開放で開発促進、開発で発展」の戦略の基、陝西省経済に於ける観光の地位の確立を図る。

・ 西安、関中平野を中心に陝南、陝北を両翼とする観光経済発展の新たな局面を形成する。

・ インバウンド観光、国内観光、アウトバウンド観光を発展させその相互促進、協調発展の新たな局面を形成する。

・ 「国家、地方、部門、集団、個人による観光開発、自力更正と外資利用」の努力方針の基、観光産業を拡大する。

 

 

 

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