救急・救助
運転手 フェリー船内で甲板壁とトラクターに挟まれる!
高松市消防局(香川)
はじめに
高松市は、四国香川県の中央部に位置し、東に源平古戦場の屋島、南に名勝栗林公園を有し、古き昔より城下町、四国の玄関都市として栄え、瀬戸内海を挟み本州岡山県または京阪神をつなぐ四国と本土の要衝をなし、瀬戸内海国立公園の中核都市、瀬戸の都高松として発展をとげてきたが、現在は夢のかけ橋「瀬戸大橋」で結ばれたことから都市形態も少しずつ様変わりしている。管内の面積は約194.18k?uで人口約333,000人である。
消防体制は、消防局4課・4消防署・2分署・6出張所・職員数294人で組織され各種災害に対処している。
ここに紹介する救急救助事例は、兵庫県神戸港と香川県高松港を1日10往復する定期航路ジャンボ・フェリー車両甲板で、大型トレーラーの降船作業中複数の悪条件が重なり発生した救急・救助事例である。
1 事故発生の状況
事故の発生は、神戸港でトラクター(けん引車)にけん引されたトレーラー(コンテナ式小型被けん引車)がフェリーに乗船後、トレーラーは、トラクターと切り離され(同時にブレーキが作動ロック状態となる)、前部ジャッキの伸張と、車輪止めが入れられ車体安定となり、15時40分出港。19時50分高松港へ入港。降船のためトラクターを乗船。トラクターの運転者は停車トレーラーの前方で停車(前輪が右15度・サイドブレーキ完全作動確認せず)、連結作業完了(同時にトレーラーのブレーキロックは開放される)後、引き続いてジャッキを圧縮、車輪止めを解除したときから下り勾配のため右前方へ発進し始めたため、トラクターの運転手は、急ぎトラクターの前部を横切り右側運転席ドアーを開放、左手を手掛けに掛けた時点で身体が、船壁面と運転席ドア間に左腕を入れたまま挟まれ、ドアがロックされた状態で停車。胸腹部を圧迫され脱出不能となったもの。(車体と船壁面隙間約30cm)
2 事故の概要
(1) 発生日時
平成9年4月8日(火)20時00分頃
(2) 発生場所
高松市朝日町五丁目11番地
フェリー船発着場けい留中のジャンボフェリー(総トン数3,577t)甲板上
(3) 覚知時間
20時08分
(4) 覚知内容
船内でトレーラーと船体に人が挟まれている。
(5) 現場到着
20時18分
(6) 救助活動完了
20時26分
(7) 要救助者
男性1人 34才
胸腹部挫滅症