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煙・裸火等の制限(火災予防条例第23条)

火災予防条例第23条本文の規定によれば、「次に揚げる場所で、消防長(消防署長)が指定する場所においては、喫煙し、若しくは裸火を使用し、又は当該場所に火災予防上危険な物品を持ち込んではならない。」と定められています。

?@ 劇場・映画館・演芸場・観覧場・公会堂若しくは集会場の舞台又は客席

?A 百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗又は展示場の売場又は展示部分

?B 文化財保護法の規定によって重要文化財、重要有形民俗文化財、史跡若しくは重要な文化財として指定され、又は旧重要美術品等の保存に関する法律の規定によって重要美術品として認定された建造物の内部又は周囲

?C ?@及び?A以外で、火災が発生した場合に人命に危険を生ずるおそれのある場所

この喫煙・裸火等の規制は、百貨店、劇場等で火災が発生した場合、特に延焼拡大危険と人命危険が大きいことから、主として、公衆の出入りする場所における喫煙・裸火等の行為を禁止し、火災の延焼拡大の防止と人命の安全を図ったものとされています。

ここにいう「裸火」とは基本的には、酸化反応を伴う赤熱部又はこれから発する炎が外部に露出している火を予想したものとされていますが、たとえば、露出して、アークや火花を発するもの、赤熱したニクロム線等が露出しているものなどがこれに含まれます。また、「火災予防上危険な物品」には、消防法別表に掲げる危険物、一般高圧ガス、火薬類、がん具用煙火などが含まれます。

ところで、これらの場所では、みなさんは、喫煙や裸火の使用等をしてはならないという火災予防条例上の義務が課せられ、この義務に違反して喫煙や裸火の使用等を行ったときは、東京の場合、条例上の責任として処罰の対象となります。

なお、裸火の使用や危険物品の持込みを行うことによって生じる危険の排除措置を講じ、消防長(消防署長)の承認(許可)を得た場合は、これらの禁止行為を行うことが許されます。

 

(3) たき火の禁止・制限(火災予防条例第25条)

火災予防条例第25条の規定によれば、可燃性の物品その他の可燃物の付近においては、たき火をしてはならないとされ、さらに、たき火が許される場合があってもこれを行うときは消火準備その他火災予防上必要な措置を講じなければならないと定められています。

この規定は、平常時においてたき火を禁止したり、制限する一般的な規定の性格をもっています。

「たき火」の意味については、「(1)たき火・喫煙禁止区域における火気の制限」の項を参照。「可燃物」とは、すべての燃え易いものを総称する広い概念で、可燃性の物品は、その例示にすぎません。

この規定により、みなさんは、火災予防条例上、可燃物の近くでたき火をしてはならない義務と可燃物から離れたところでたき火をする場合の消火準備等の義務が課せられます。

このように、みなさんは、平常の気象時におけるたき火について、火災予防条例上の禁止や制限を受けることになるのですが、禁止等に違反しても同条例上の責任として罰則の適用を受けることはありません。

しかし、相当の注意、つまり通常人に一般的に期待される程度の注意をしないで、建物や可燃物の近くでたき火をしたときは、別途軽犯罪法上の責任として拘留(1日以上30日未満の拘留場に拘置)又は科料(千円以上一万円未満)の刑に処せられることがあります(同法第1条第9号)。この種の裁判例としては、周囲に建物が建ち並んでいる公園内の遊歩道で、消火用水の準備等の措置を講じないで、付近にあった紙や木屑を集めてたき火をしたことについて、軽犯罪法違反で処罰された事例があります(東京地裁昭和52年3月7日判決)。また、火災警報発令中におけるたき火については、どのような形のたき火であれ、消防法第22条第4項の委任に基づく火災予防条例により禁止されていますので(同条例第29条第3号、この禁止に違反した場合は、消防法上の責任としては20万円以下の罰金または拘留の刑に処せられることがあります(同法第44条第13号)。

 

(4) 火災警報発令中における火の使用の制限

 

 

 

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