報を聴取することに全力を傾注し、幸いにも4分後に状況が確認できたため、救助隊2隊、救急隊2隊を応援出動させた。
先着救急隊は図のようにマンホール底部に倒れている作業員を確認、声をかけたが反応なく、積載の酸素ボンベをロープにてマンホール内へ入れた。
救助隊が到着、90cmの狭い幅と約6mの深さがあったため、救助隊員1人を底部、もう1人を中間に配置し、要救助者を1人ずつ、ロープにて引き上げ救助した。
救出順は、A(23歳)、B(37歳)、C(52歳)の順である。
救助活動中、救急隊は高圧酸素等の設備のある病院の手配を通信指令室に要請、救出時には搬送先の病院は2箇所決まっていた。
6 傷者状況及び予後
1人目の救出者A(23歳)は、意識レベル-100、脈拍あり、呼吸あるも弱いため補助呼吸を実施しながら搬送した。
この者は、快方に向かっているということである。
2・3人目の救出者は、ともに意識レベル-300、心肺停止状態のため、心肺蘇生法を実施しながら搬送した。
この両名にあっては、当日及び翌日にそれぞれ死亡した。
おわりに
今回の事例に関しては、死亡した人の冥福を祈るばかりであるが、酸欠に対するちょっとした配慮をしていれば、このような悲惨な結果をもたらすことはなかったと思われる。
今後は救命講習等、あらゆる機会を通じ、二度と再びこのような悲惨な事故がおきないよう、広報活動を充実させるとともに、部隊の連携をはじめ、より高度な救急・救助活動を求め、研修・訓練を充実させていきたい。
(杉渕 敏)
予防・広報
予防広報こそ災害低減の原点
岩国地区消防組合消防本部(山口)
はじめに
「周防なる いわくに山を こえむ日は たむけよくせよ あらきその道」と万葉集に詠まれた地に、岩国地区消防組合はある。
当組合は、山口県東部に位置し、岩国市を中核として1市7町1村で構成され、人口約166,000人、面積882.16k?uを有し、北部は広島県・島根県に、南部は瀬戸内海に面しており、その中心を中国地方有数の大河清流錦川が、蛇延貫流しながら瀬戸内海に注いでいる。山陽新幹線、山陽自動車道など交通網も充実し、沿岸部には瀬戸内工業地域に属する石油コンビナートを有するなど活力と情緒あふれる水と緑の都市である。
市内には、延宝元年(1673年)岩国藩主・吉川広嘉公が創建した日本三大名橋のひとつ名勝『錦帯橋』がある。
また、岩国市は基地の街としても名高く在日米軍人と地域の人々との交流も盛んで、円際都市としての一面も合わせもっている。
この様に、岩国市は観光と石油コンビナートと基地の街である。
当組合の消防体制は、1本部・2審・5出張所・1分遣所・3機関員駐在所に職員191人を配し、団員1,753人とともに安全な地域づくりをめざし業務に取り組んでいる。
1 自主防災組織
管内には、幼年消防クラブ6団体、少年消防クラブ4団体、婦人消防隊7団体が結成されている。
○ 幼年消防クラブ
幼年期から火に対する正しいしつけを身につけさせ、幼児の家庭から火災の絶滅を図るとともに、将来、人命を尊重し、財産の保全を図る社会人としての素地を涵養させるため、幼年消防クラブ大会等への参加、予防運動期間中のパレードや署内見学、消防車のスケッチ、防火映画の鑑賞等により、防火の大切さを教えている。
○ 少年消防クラブ
少年期に防火意識を育成するため、県BFC主催の夏期訓練への入校参加、海上保