第二の人生の目的を見つけたから、定年も怖くない
そもそも木下さんがこうした活動をはじめたのは、定年後のライフワーク準備のためだという。
「定年後は年金生活に入りますから、家計緊縮の範囲で生きがいを見つけなければなりませんが、そんな中で、人間の最も基本的な行動である"読むこと・書くこと"を通じて、散財の少ない頭脳道楽を楽しむのもひとつの方法だと考えたわけです」
この分野はカルチャー教室などの教育講座もないため、試行錯誤を重ねながらの作業だったというが、これまでにすでに数百枚ものプリントを作成した木下さんにとって、人に感動を与え、人の心にビタミン剤となるようなミニコミと生活情報誌づくりは、すでに趣味道楽の域を越え、生活の一部になっているとのこと。
「おかげさまで、この春、職場人間を卒業しますが、その日が来るのが今から楽しみなくらい。昨年にはミニコミをつくっている人同士の交流を目的とした『ミニコミ倶楽部』も旗揚げしましたし、今後はシルバー世帯向けの参加PR活動や、老人ホーム施設へのプリントを通じての慰問や自分史作成の援助、さらには、ミニコミ文化を普及させるための展示会の開催など、やりたいことは山ほどありますからね」
最終的には、「ミニコミ文化を普及させることで、シニア世代の生きがいづくりにひと役買うことが目標」と、少年のように声をはずませて語る木下さん。"活字ボランティア"に捧げると決めた彼の第二の人生は、どうやら順風満帆の船出となりそうだ。老年よ、大志を抱け! (本シリーズ終了)
作成した生活プリントの数々。