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さらに、一人暮らしを続けるお年寄りの「精神的な強さ」にも感心させられたという。「体も満足に動かないのに外の人を受け入れるということは、こんなご時世ですから、いつ、何が起こるかわかりません。だから、ある程度の覚悟がないとできないと思うんです。そういう意味では、自立して暮らすということは、社会に対して心を開く度胸も必要なんだなと痛感させられましたね」

 

自分のできることを、できる範囲内ですることが大切

 

こうした活動の一方で、最近は、月に一度は離れて暮らすお母様の元も訪ねているという星田さん。「母は夫と同じ四国に住んでいるので、夫の所に行った帰りに立ち寄って一泊することにしているんです。長年苦労してきた母に対して、少しでも親孝行をしたいとは思っていたんですが、どうすればいいのかわからなくてずっと足が遠のいていたんですね。でも、ただ話を聞くだけでも慰めになるんだということに、最近、ようやく気づいたんです」

ボランティア活動にしても、親孝行にしても、肩の力を抜いて、自分のできることをできる範囲内ですればいい。そう思ったら「気持ちがすうっと楽になった」と語る星田さんは、今、少しずつ変わりはじめた自分を見つめている。そんな彼女のこれからの目標は、夫と二人三脚で地域活動に励んでいくことだという。

「実はもうすぐ主人が定年を迎えるんですが、典型的な会社人間だった主人が、第二の人生を考えはじめたせいでしょうか、最近、ボランティアに関心を持ちはじめて、オイスカ(植林を行う国際団体)に登録したり、地域交流に励むようになってきたんです。私自身はあまり表に立って何かをするというタイプではないので、これからは、こうした活動をする主人の支えになって、夫婦共通の目的を見つけられたらいいなと思っているんですよ」

マイペースで一歩ずつ。それが星田さん流の生き方だ。

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お母様と…。(左 : 星田さん)

 

 

 

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