表紙絵から
池田げんえい/1946年神奈川県生まれ。日本児童出版美術家連盟、現代童画会会長。創作『鬼の会』同人。日本デザイナー学院講師。はり絵作家。
● 平成・東海道五拾三次
その35「吉田」
櫓から見た53次と同風景
―豊橋公園吉田城―
逆コースながら、豊橋〜二川〜白須賀間をどうにか歩き通したことになった。二川〜白須賀間のあまりにあっけない距離に、「こんなことならあの時も少し無理していれば…」。
まだ夕方というには早い。陽があるが何となく明日は雨の予感もして、あわててまたまたバスで豊橋に戻り路面電車で吉田城跡に向かった。大正、いや昭和初期の建物だろうか、公会堂の正面には羽根を広げたハトたちのデコレーション。その裏には公園が広がっている。
奥には吉田城の櫓が残っていて、そこから見る風景は、広重図そのもの。悠久の時を刻んでゆったりと豊川が流れていた。
公園でくつろぐ中年(?)カップル。
安藤広重絵「吉田」
水量豊かな豊川の上に架かる橋は、吉田大橋。街道中2番目に長い橋だという。普請中の城が、吉田城。やぐらの上の男が小手をかざしているのは、橋上の往来を眺めているのか。橋の彼方の山の麓には、長篠がある。