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に胸を打たれ、通信教育で点訳の勉強をしたこともあるという。また、この夏には、福祉の勉強を兼ねて、小樽で開催された「映画をつくりながら考えた老人問題・映画『住民が選択した町の福祉』」(監督・羽田澄子)の映画と講演会に足を運んだり、本誌にイラストを描くボランティアを申し出てくれたことも。そして、その縁から、登別にある在宅福祉サービス団体が発行するパンフレットの制作を手伝ったりもした。「気持ちだけでもつながっていたいから、今の自分でできることでよければと、思い切って申し出てみたんですが、私の絵が生かされたという喜びでいっぱい。いい経験をさせてもらいました」と、まずは、身近なところから一歩ずつはじめているのである。「そういう意味では、先日美術館に行った時、車イスの方が二階に上がれなくて困っていらしたので、お手伝いを買って出たりもしたんですよ。ところが、これが予想以上に大変で……。その場に居合わせたもう一人の方と、上体と車輪を持って運び上げたんですが、なかなかスムーズにいかず、申し訳ないことをしてしまいました。コツを知っていればもっとうまくできたんでしょうから、その時に、やっぱり"思ってる"だけじゃダメ、行動を起こさなくちゃ、と強く感じましたね」

そんなわけで、とりあえず、子育てで中断した点訳を再開するとともに、これからの高齢化社会には欠かせないホームヘルパーの勉強をはじめることが当面の課題だというが、「まだ、これをやりたいというはっきりとした目標がないので、あっちこっちにフラフラしちゃうかも」と照れくさそうに笑う。

でも、それでもいいんじゃないですか。常日頃からの思いがあるからこそ、困っている人を見ればスッと手助けできるのだし、勉強しようという気持ちも起こる。みんなで竹腰さんのように、福祉をわが事としてとらえれば、今の社会はもっともっと住みやすくなるはずですもの。

「何かをはじめたら、また報告しますネ」

明るい声でこう話してくれた竹腰さん。どうぞ、いつまでも今の思いを大切に!

 

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家族4人と静岡のお母様。写真中央が竹腰久留美さん。(今年の夏、釧路湿原にて)

 

 

 

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