有料老人ホームの購入は、納得できるまでしっかり細目をチェック
まず挙げられた問題は「同一施設内介護」。ある施設では、入居案内広告に「介護を必要とする状態になられた場合には、介護室にてお世話させていたがきます」などと表記しているのに、排泄の介助などが必要となった入居者は、隣接する提携病院で入院患者として介護されていた。また、ある施設では入居案内用資料で「現在介護中の重度の方で、消耗品込みで月額一二万円前後」と説明していたにもかかわらず、実際は介護が必要となった場合は、入居者負担で付き添い人を付けることが契約上義務付けられており、月々の管理費を含むと月額約五五万円にものぼる例もあったという。
先ほど紹介した『老人ホーム入居者一一〇番』に寄せられた有料老人ホームについての苦情や相談の一部を紹介すると……。
?管理費が一年おきに値上げされている。返還金が一年以内で三〇%、三年以内で六〇%も引かれるため、退去したくてもできない現状にある。
?介護費を払っているのに要介護になったら費用を別途請求されている。夜間のエアコンの禁止。
?現在三人目のオーナーになり、それから月額費用が倍に値上げされた。元気な入居者のみ支払いを拒み、供託をしているが、嫌がらせがひどい。
こうした声を聞く限り、どうも入居前に描いた「夢」と、入居後の「現実」の隔たりは大きい。そこで、シニアライフ情報センターの池田敏史子事務届長に話を聞いてみた。
「有料老人ホームの問題点は、老後を託す人にとっては切実な介護サービスの内容、たとえば、介護を受けるのは個室か大部屋か、介護職業は何人か、費用は、といった当たり前とも思える情報が、入居者に正確に伝わっていない点にあります。ただ、これは一概にホーム側だけの責任ともいえない。私どものところに持ち込まれる相談をみても、管理規定や介護規定、契約書を持って来てくださいとお願いすると、これらのことはきちんと明記されていることが多いんです。