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着る人の立場に立った服づくりが大切

 

こうして、『糸の詩』で考案・製作した服は、すでに五〇種類以上にものぼるという。取材に当たって、いろいろなサンプルを見せてもらったが、介護のための服というから、地味で、機能性のみを追求している服を想像していたら、アイデアで着にくさを解消し、できるだけ不自由な肢体をカバーしながらも、健常者と同じ感覚でオシャレを楽しめるような服も多く見受けられたのが印象的だった。ネクタイやワンピースやスーツといった、およそ介護とは結びつかないアイテムまであるのだ。

この点について、栗田さんに尋ねると、「最近はようやく介護が必要な人のための服が市販されるようになってきましたけど、その大半は介護をする人の手間を省くことを目的にしたもので、着る人の立場に立ってつくられたものは、まだまだ少ないと思うんです。でも、年を取っても、障害があっても、オシャレをしたいという気持ちは誰にでもあるでしょう?それどころか、元気だった頃の服を改良して着られるようになれば、はつらつとして外出してみたくなるし、それが心と体のリハビリにもつながると思うんです」という答えが返ってきた。

当たり前といえば当たり前すぎる話だが、なかなか、介護の現場にいる人たちにとっては、そこまで気が回らないのもまた、事実であろう。

【急ぎトイレズボン】

脇縫い目を利用した、急ぎトイレズボン。脇の縫い目をはずし、マジックテープをつければ、手か不自由な人でも、すぐに用か足せる。ゴムをつけて、ズリ落ちを防止。

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