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長男の事故をきっかけに、介護用の服に注目

 

教育一筋に三〇年を過ごしてきたそんな栗田さんが、ボランティアグループを設立しようと決めたのは三年ほど前のこと。きっかけは、長男の交通事故だったという。「自動車事故を起こして、太ももの骨を折ってしまったんですね。知らせを受けたときは本当に驚きましたが、車イスでの治療生活がはじまると少し落ち着いてきて、他のことにも目がいくようになるじゃないですか。そこで、はたと気がついたんです。入院用の服はデザインや色彩が極端に地味だし、機能だって、必ずしも個々の症状に合っているとはいえないと……。息子の場合は、いちいちズボンを脱がないと治療ができなかったんですが、年頃の男の子にとっては、若い看護婦さんの前で、裸んぼうになるのはすごく恥ずかしいこと。治療自体は具合の悪いところだけを出せばいいわけですから、それなら、そういう服をつくってあげようと思ったんです」

さっそく家に帰って、息子さんのお気に入りのズボンをリフォームし、ウエストから足首まで脇ファスナー開きにしたところ、本人は大喜び。通院生活になってからも、病院に行くときは必ず、そのズボンをはいていったというから、よほど都合がよかったのだろう。「その時、たったこれだけのことで不便が解消できるのに、その術(すべ)

【着替えしやすいパジャマの作り方】

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