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七年間がんばってはみたものの、最終的には自分自身の能力の限界を感じて挫折。その後はいったん、福祉の世界を離れたこともあったが、やはり、当初の果たせなかった夢──"老人介護の仕事をしたい"という思いが抑えられなくなって、この世界に舞い戻ってきたという。

「まあ、これまでのぼくの人生は、壁に当たっては右往左往する連続でしたね」

こうして、初心に戻った山口さんは、その後、老人病院や老人ホーム、デイケアセンター、訪問看護ステーション等で実地研修を重ね、勉強を開始。

「現場に身を置くことで見えてきたのは、公的福祉サービスだけでは、夜間や休日の介護まで手が回らないという現状でした。そして、もし、こうした欠けている部分を民間の団体で支えることができれば、誰でもが望めば在宅で安心して暮らせるようになるのではないか。そう思って、『ナイトケア・吹田』を設立することに決めたんです」

現在は、盆も正月も関係なく、二四時間体制でケア活動を行い、しかも「まったくお金にはならない」というが、「役に立っていることが実感できるのがやりがい」と語る山口さん。

「こういう団体の運営は片手間にはできないからこそ、働き盛りの男がやる意味があると思うんです。ただ、男の場合、生計を立てられない仕事では継続できない。だから、僕はこの団体で専従スタッフでも食べていけるという見本にもなりたいんです。それが証明できれば、きっと、後に続く仲間も増えてくれるはずですから」

ようやく、人生をかけられる仕事に就けた山口さんの思いは熱い。

 

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利用者の方を囲んでのデイサービス風景。ケアワーカーとボランティアが力を合わせて場の雰囲気を盛り上げる!!

 

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山口 友樹さん。

 

 

 

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