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巻頭言 ●NO.15●

 

男性自立教室のすすめ ―「結び縁型」グループホーム入居の要件

●堀田 力 さわやか福祉財団理事長

 

芦屋市にあるグループホーム型仮設住宅を見学した。宮城県の浅野史郎知事が第一号を寄付されたもので、ミソは、中央に共同で食事ができるスペースがあることである。一緒に食事をするかどうかは各人の勝手であるが、昼食は、週三回ボランティアさんが来てつくってくれることもあり、みんなと一緒に食べる人が多いらしい。人居しているお年寄りの方々はすっかり打ち解けて、「ずっとここにいたい」と口々におっしゃっていた。

私が訪ねた時は、男性の方々はもう公営住宅等に移っていたので、おばあちゃんたちに、「男性がいた時の方がよかった?」と、尋ねると、全員が直ちに、「いない方がよい」と断言された。「それはどこの施設でも同じですよ」と、そばにいたケアの職員が口を添えられた。

私がかつて出演したテレビのパネルでグループホームをすすめた時も、橋田寿賀子さんはじめ女性のパネラーは口をそろえて「男性はちょっとねぇ」といわれた。

理由はいつも同じで、要するに、男性はやらないくせに注文が多い、そのくせしてあげてもありがとうをいわない、というのである。

どうも男性というのは、一人でもやっていけないし、仲間ともうまくやっていけないというやっかいな存在のようである。

一緒に見学したわが財団新設のグループホーム推進グループのリーダー神谷和夫さんと顔を見合わせて苦笑したのであるが、これは頭の痛い問題である。

五月号で紹介した「至誠ホーム」や、「さっちゃんの家」「菜の花」のように、痴呆の方などをお世話する「ケア型」グループホームならそれほど問題にならないのであるが、私たちが力を入れて推進しようとする「結び縁型」グループホームは、子供から高齢者まで、元気なうちから一緒に家族のように暮らそうというのであるから、男はみんなダメとなると、どうも具合がよろしくない。

もっとも、結び縁型グループホームといっても、共通の裏庭をつくったり、共通の広場を設けただけで、生活は各戸で独立してするというものから、炊事や食事を共通にする家庭方式のものまでいくつもの類型があるのだが、共同の暮らしの場が広がるほど、協調性が求められることになる。

たとえば、酒乱の癖や、カッとなって暴力を振るうおそれのある人、自己主張が強くて他人のいうことに耳を貸さない人、人を無視して口をきかない人、支配欲が強く、人を仕切りたがる人、自己中心的で感謝の気持ちを持たない人、陰口ばかりで人の和を乱すのを

 

 

 

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