表紙絵から
池田げんえい/1946年神奈川県生まれ。日本児童出版美術家連盟、現代童画会会員。創作『鬼の会』同人。日本デザイナー学院講師。はり絵作家。
● 平成・東海道五拾三次
その30「浜松」
三方が原
―三方が原―
深夜、ホテルの下から車の騒音とけたたましいギャルの嬌声が聞こえる。カーテンをそっと開けて見ると、3人のギャルたちに次から次へと車が順番に声をかけている。それをギャル共はオーバーにもったいつけてはしゃいでいた。ぼくは、そんな光景をウィスキー片手に頬杖をつきながら、ボーッと見つめていた。お陰で今朝は眠くて仕方がない…。
広重絵「冬枯ノ図」中、遠くに浜松城を望む同じアングルを探すべく重い頭をグルグル回して、また、戻ることにした。今度は遠州鉄道「新浜松」から三方が原へ……。よほど広々とした草原だったのだろう、多少小高い場所からの見晴らしは、現在は家並みかジュータンのように地平線にまで広がっている(ちとオーバー)。そして遠くに豆つぶのように城を確認して満足とした。
浜松城
安藤広重絵「浜松」冬枯ノ図
街道沿いの1本の大杉を囲み、農夫や旅人たちが焚き火のまわりでぬくみ合っているのどかな風景の図。木の右側遠くに見えるのが浜松城。また付近には三方が原の古戦場がある。