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高齢者にだってやれることがいっぱいあるんです。

堀田 シニアネットの動きは、全国の高齢者の方々の熱い共感を呼びましたよね。今日は、その仕掛けぶりや思いの丈をたっぷりと披露してください。それにしてもとてもお忙しそうで。咋日もラジオ出演なさったとか。

庄子 そうなんですよ。NHKで台本なしのぶっつけ本番で二〇分間、私どもの活動をお話ししたんですが、大変な反響で。「元気な高齢者が何もせずにいちゃダメだ」という思いに対する共鳴がすごいんです。

堀田 高齢者というとお世話を受ける側とすぐ考えがちですけど、そうじゃない。何かやりたいと思っておられる方は本当に多いんですよね。

庄子 私たちは二年前に「やろうやあ」といって立ち上がりました。そのときと同じ高いエネルギーで声を掛け合う人がそれぞれの地域におったら、私どものような活動もパァーッと広がるような気がしています。

堀田 全国に「庄子さん二号」「庄子さん三号」…とぜひ増えていってほしいですね(笑)。都市部にいる子供さんのところに一度引っ越されても、また元の地域にUターンしてしまうお年寄りが多い。「することがない」「寂しい」というのが多くの理由なんですね。どこに行っても同じような温かさで迎え入れる仲間がいて、「あなたにもやれること、やってほしいこと、いっぱいあるんです」という庄子さんたちのような組織が全国にあれば、移っても少しも寂しくない。日本全体が温かい社会になるというのはそういうことだと思っています。

庄子 一人暮らしの方たちに「あなた、息子、娘のところに行きたい?」と聞くと、誰も行きたいといわない。だから私は、「行くなよ。行ったら死んじゃうぞ。ボケるぞ。行かないでがんばれよ」と。そして「みなさん、この人と一緒にみんなでお茶を飲んで仲間として支えてください」という。みんなとっても喜んでくれて。

堀田 そうでしょうね。大震災で神戸のような状況になって、全国で「引き受ける」という仲間が出てきてくださったのに、「しばらくお世話になってみよう」という人が出なかったのは、正直ちょっと寂しかった。でも、お気持ちは十分わかります。暮らし慣れた地域で暮らせたら本当に素晴らしい。そのためには行政だけじゃなく、やはり支え合う市民の力が必要ですね。そのためにもこれからはお元気な高齢者の参画が重要なカギになってくるわけです。

庄子 今までは高齢者自身もどこか福祉の受け手だという感覚で生活していました。これを何とか排除したかったんです。日本は本当の寝たきりとかボケ老人は約一〇%、一二%ぐらいまで増えるだろうといわれて

 

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