ケース1 子供への気遣いで同居入籍を延期中
一〇年前に妻と別れ、以来、お嬢さんと二人暮らしを続けてきた東京都在住の北爪栄さん(五六歳)は、半年前、山梨県に住むK子さん(五二歳)と再婚することを決め、新生活のためのマンションも購入したそうだが、二人はまだ、入籍も同居もしておらず、具体的なめども立っていない。「彼女は、二〇年前にご主人と死別され、二人のお子さんがいるんですが、知り合った当時、娘さんはすでに嫁がれていて、息子さんと二人暮らしでした。結婚の意思を伝えると、娘さんはすぐに祝福してくれましたが、息子さんのほうは、おとなしいせいもあるんでしょうが、会いに行ってもほとんど口を聞いてくれませんでした。まあ、表立って反対ということではないんでしょうが、複雑な心境ではあるんでしょうな。それで、お互いの子供が結婚して独立するまで、同居は見送ろうということにしたんです」
入籍もその日が来るまでお預けだそう。というのも、もし、入籍をするとなると、K子さんだけが籍を抜けて北爪さんの籍に入るか、息子ともども北爪さんの籍に入ることになるが、前者の場合、結果的には、親子関係を立ち切ることになるので、子供の気持ちを傷つけてしまいかねないし、後者の場合、息子は北爪さんの養子ということになり、姓も変わってしまう。それも抵抗があるだろうと考えたからだ。
「お互いの子供が結婚して独立した籍を持てば、そうした問題も解決できます。まあ、待つのも愛情のひとつですね(笑)」
北爪さんは、今、週末ごとに、K子さんのもとに通う日々を送っている。
「彼女の家は建ててから相当年数が経っているので、あっちこっちガタがきてましてね。それで、趣味の日曜大工を生かして、風呂場のカビ取りやタイル貼りをしたり、ベランダを作ったりしてるんですよ。あとは他愛もない話をしたり、一緒にテレビを見たり……。そんなささやかなことでも、二人一緒なら楽しいもんなんです」
子供が独立したら、会社を退職したら、どんな孤