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表紙絵から

 

池田げんえい/1946年神奈川県生まれ。日本児童出版美術家連盟、現代童画会会員。創作『鬼の会』同人。日本デザイナー学院講師。はり絵作家。

 

● 平成・東海道五拾三次

その26 「日坂」

 

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一面に広がる茶畑

 

―牧の原茶畑―

金谷駅のS・Lはだいぶ前に出発してしまったらしい。次の日坂は「佐夜の中山」の図。

すぐさま駅前タクシーにその場所を聞くと歩いては30分程という。ボクはタクシーに乗らず山へ向かって歩き出した。ほどなく眼下には大井川、金谷の街。そして島田はおろか、その先々までもクッキリと見える。そして山の頂がすごい。どこもかしこも茶畑だらけ、こりゃスゴイ。でもこの茶畑に圧倒されてどうやら方向感覚がおかしくなったようだ。さっきからもう1時間も歩いている。わずかに出逢う地元の人たちは「すぐそこ」の感じで教えてくれるのだがこれが曲者…、この"茶畑迷路"に完全に阻まれて、どこが何やらさっぱりわからない。地図を見てもわからないのだ。おーい、佐夜の中山ってどこなんだ。「夜泣き石」が見たいんだよー。助けてくれー!

 

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広重絵にも出てくる   広重絵と同じ場所(佐夜の中山)
"伝説"の夜泣き石

 

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安藤広重絵「日坂」(にっさか)

道中で妊婦が山賊に襲われて殺された。その時傍らの大石が泣いて赤子が助かったと伝えられる。その「大石」を旅人が不思議そうに囲んでいる図。

 

 

 

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