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自分たちのまちは自分たちの手で

全住民参加、住民主導の支えあい

 

午後一時半、銀髪の男性が小雪舞うグランドのなか、急ぎ足でデイケアセンターにやって来た。高瀬博彰さん(七二)だ。

高瀬さんの名刺には「京都市社会福祉協議会非常勤講師、春日住民福祉協議会会長、春日学区自治連合会会長、上京区福祉協議会副会長」とずらり肩書が並んでいる。そして本業は理髪業。昭和四八年にこの町に「住民福祉会議」が発足して以来、「どうやったら春日にふれあい社会が実現できるか」に率先して取り組んできた、地域リーダーである。

高瀬さんが訪れたデイケアセンターは、実は春日小学校という地元の学校が廃校になる二年前まで職員室だったところ。この小学校は高瀬さんの母校であり、いまでは在宅老人福祉活動の拠点として利用されている。三年間の期限付きで市から貸与され、ボランティアの手によって、お年寄りが使いやすいように化粧直しされている。

ここに毎月第二・第四火曜日の午前一〇時から午後二時半まで、体の不自由なお年寄りが集まる。健康診断を受けたあと、作業療法を行ったり昼食を楽しみ、ふれあいのひとときをミニケアサロンで過ごす。

ミニケアサロンの運営は春日住民福祉協議会、中心になっているスタッフは町内のボランティアだ。地域ボランティアが運営するデイケアセンターというのは珍しい。登録利用者二〇人余りに対し、約倍の三六人のボランティアスタッフが当番

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春日ミニケアサロンに集まったお年寄りとボランティア

 

 

 

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