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あ い さ つ

 

財団法人青少年国際交流推進センター

理事長 山 田 馨 司

 

この度、韓国青少年交流振興協会から20名の青少年指導者をお迎えし、「21世紀に向けて日韓の相互理解をどう進めるか」をテーマに国際理解セミナーを開催するにあたり、一言ご挨拶を申し上げます。

我が国と韓国とは、一衣帯水の隣国として有史以前から長い交流の歴史を持ち、人種的にも、文化的にも最も近い親戚関係にありながら、近世以降の不幸な関係の故に、戦後50年、韓国にとっての「解放50周年」を過ぎた今なお、互いに「近くて遠い国」であることを認めざるを得ないのは、誠に悲しいことです。

関係の深い隣の国との間には、遠い国との間にはないような、難しい問題が生じがちです。基本的に似ている者の間ほど、かえって、僅かな違いが気になるということもあります。競い合う気持ちも強くなりがちです。相互理解を深め、相互尊重と寛容の精神によってそれらの問題を乗り越え、隣の国と真の友好関係を築くことができる国こそが、世界中のどの国とも仲良くなれる国、世界の平和をリードできる国ではないでしょうか。日本と韓国はまさにそのような国になるべきだし、なれると信じています。

21世紀はアジアの時代になると言われています。自由と民主主義という近代西欧に生まれた普遍的価値観と長い歴史に育まれたアジアの伝統的価値観が調和した新しい豊かな社会を世界に誇示できるよう、アジアの東の端で日本と韓国が力を合わせようではありませんか。

帝国主義、植民地主義、イデオロギー戦争で彩られた不幸な時代は、20世紀とともに終わろうとしています。21世紀には、世界中の全ての国々が多様な独自の文化に誇りを持ち、互いに尊重し合い、協力し合って、人類の歴史に新しいページを開かなければなりません。「相互理解」がその鍵を握っています。

21世紀を担う日韓両国の青年の間で、まず「相互理解」の扉を大きく開きましょう。このセミナーがその一助となれば幸いです。

 

 

 

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