できる。AISを装備している船舶が電子海図を装備している場合は、この海図もWGS-84測地系であることが重要である。
c)VHF又はUHFで運用されているということは、レーダー機能を低下させる気象条件にも大きな影撃を受けないという利点がある。特に、天候によって生ずるレーダークラッターによって、検出及び追尾が損なわれるということが少ない。
d)自動的に識別させることは、VTSと組み合わせることによって識別を誤る可能性を大幅に減少させ、結果的にVTSの不正確なアドバイスを少なくする。また、船舶が他の船舶又はその他の物標に近接して通過した時に、追尾を取り違える可能性も小さくなる。
e)AISはデータ率が高いので、非常に多くの行動中の船舶を正確に追尾させるのに充分な容量がある。この大きな容量はVTSの必要条件に充分に応えられると思われる。
f)AISは、船舶の動きや積載貨物の詳細など、広範囲のその他のデータをVTSセンターに提供するのに充分な容量を持っている。陸上と船舶との間で、広い分野の一般的な情報の交換に利用する可能性を持っていることも、重要なことである。
4. レーダーの必要性
AISが何時ごろからSOLASの義務設備となるかははっきりしていない。しかし、義務設備となったとしても小型船は除外されると思われる。したがって、レーダーは、全ての物標を検出し追尾することの出来る唯一のシステムとして残ることになるであろう。また、電子式測位のインテグリティのチェックのためにも重要である。したがって、VTSの重要な構成機器として残るものと思われる。
5. その他の利点
a)AISを利用すれば、音声通信やVTS運用官の手作業が減少するので、能率化を助けることになる。しかし、音声通信は、AISを装備していない船舶及び緊急事態にある全ての船舶への、情報伝達の基本的手段として残さなければならないであろう。
b)AISはまた、レーコンの代替としての航路標識として使用される可能性も持っている。
6. 結論
AISをVTSと組み合わせた時には、VTS運用官にレーダーよりも正確で包括的なデータが提供されるので、安全及び能率化を著しく強化する可能性を持っている。また、運用官の手作業及び海上音声通信の実施を少なくする。しかしながら、レーダー又は音声通信を無くするというには至らないと思われる。