・ 港湾技術研究所が理論解析し実験したデータをもとに作成したノズル開口比別波高伝達率のグラフから次の値を読みとる。
・ まずそのノズル開口比(例えば1/150)に隣接するノズル開口比のグラフ(1/100、1/200)を選択する。
・ 次にその波高に対応する波高伝達率を、その周期(例えば2.25s)に隣接する周期(2.0s、2.5s)の曲線より各々求め、直線補間により当周期の波高伝達率を求める。
・ 上記の周期に関して直線補間で求めた波高伝達率を、今度はノズル開口比においても直線補間し、当周期・当ノズル開口比における波高伝達率を求める。
以上の方法により求めた値である。
? 考察
実験結果より
(a) 千葉港においてノズル開口比1/150、1/200の時実験値がやや理論値より低い。但し周期が長いとき(2.25秒)は理論値より若干高めに出る傾向にある。
(b) 平潟港においては、ノズル開口比1/130において周期3.17秒(黒の丸)の波高伝達率が理論値より低く出ているが、その他はおおむね理論値に近い値が出ている。但し、波高が低いときはノズル開口比1/130、1/200において、理論値よりも実験値が低くなる傾向にある。
なお、周期1.83秒(黒の四角)は共振を起こしているためか、ノズル開口比1/300、波高0.04mの場合を除き、いずれも理論値より2割以上高い値を計測した。
(c) 平潟港において、没水部長0.18mと0.34mの比較を行ったのものが図-4.36である。(ノズル開口比は1/130である。)共振時を除き没水部長の長い方が、海底への開放部が水面からの距離が長くなるので水圧変動が低くなり波高伝達率が下がると思われたが、周期の短い場合1.17秒(×と×)を除きほぼ同じ値を示している。没水部長0.18mにおける波高伝達率と没水部長0.34mにおける波高伝達率の比の平均は1.00であり、その比が大きく外れる周期1.17秒、波高0.04mの場合を除けば標準偏差は0.10であり、実質的な差はないと言える。
(d) 平潟港において規則波と不規則波の波高伝達率を比較したのが図-4.24である。周期1.17秒、波高0.40mの場合を除き、いずれも不規則波の方が波高伝達率が高く、不規則波と規則波との波高伝達率の比が平均で1.52倍、標準偏差は0.21であった。
(e) 平潟港没水部長0.18m、ノズル開口比1/200を選んで圧力の計算値と実測値の比較をしたのが表-4.19である。一部計算値と実測値が異なる例もあるが、その他はほぼ計算値と実測値が等しく、実測値/計算値の比は周期1.17秒、波高40mmを除いて94.4%である。