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後の経過年数と骨密度の間には何の相関関係もみられなかった(図1、2)。運動と骨密度の関係については運動が骨密度の維持、増加にポジティブに作用するとする報告が多くみられる9,14)。さらに、運動種目については重カに抗して強い衝撃を伴う動作が要求されるバレーボールやバドミントン、アネロビックな運動がより骨密度を上昇させるとされ、エアロビックな運動の代表的な形式であるウオーキングによっても骨密度は維持される4,5,10,13)。本研究の対象者について閉経前の骨密度の値は測定されていないが、その多くで日常的な運動を閉経後から開始しており、骨密度と年齢との間に相関関係がみられず、また、閉経年齢、閉経後の経過期間との間にも関係がみられなかったことはウオーキング、エアロビックダンスを中心とする1日当たり1〜2時間、週2〜5日の運動が骨密度の維持にポジティブに作用していることを示唆するものである。

中高年女性の骨密度と筋力、筋パワーの関係については、L2-4BMDと握力、背筋力、脚伸展パワーとには有意に高い正の相関関係が、脚骨密度と等尺性脚筋力との間に有意な正の相関関係があるとされている2,6,7,8)。本研究においては運動をしていない中高年女性を対象とした前年の研究と同様に伸展筋力、屈曲筋力ともに相関関係はみられなかった。また、骨密度と座位からの立ち上がりに要した時間との関係をみたところ、1回および3回連続、5回連続のいずれも測定された骨塩量、骨密度と有意な関係はみられなかった。これらのことは、測定上の諸問題を考慮するとしても、本研究の被験者である運動習慣を有する中高年女性において、下肢筋群のパフォ一マンスから骨量の増減を決定する骨組織に内在する細胞群の働きを示す骨密度を推し量ることの困難さを示唆するものである。また、中高年齢者においては体力に個人差が大きく、その評価は年代における平均値に頼ることなく相対的評価に因るべきであると考える。

 

まとめ

骨密度と等尺性脚筋力および連続立ち上がり運動との関係について日常的に運動を実施している50代、60代の女性を対象に検討した結果、以下の知見を得た。

1. 本研究の限定された被験者において骨密度と年齢との間には、有意な相関関係がみられなかった。

 

 

 

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