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研究方法

1. 対象

被験者は東京都内在住で近隣のスポーツセンターにおいて1日1〜2時間、週2〜5回有酸素性運動を中心に運動を行っている50歳〜66歳の健康な成人女性38名であった。なお、被験者には測定の目的・内容を予め説明し測定参加の同意を得た。

 

2. 骨密度の測定

骨密度の測定は被験者の承諾を得たのち、骨密度測定装置(RUNAR社製DPX-L)を用い、DEXA法により行った。測定項目は全身の骨塩量(TotalbodyBMC)、骨密度(TotalbodyBMD)、部位別では下肢の骨塩量(Leg BMC)、骨密度(Leg BMD)とした。

 

3. 静的筋力の測定

静的筋力はTREMAX(トレビック社製)を用い、膝伸展筋力および膝屈曲筋力を測定した。伸展筋力は座位にて膝関節を110°にした状態で、屈曲筋力は仰臥位にて膝関節を同じく110°にした状態で、ともにグリップを保持し、両脚同時に筋力を発揮することによって測定した。

 

4. 立ち上がり運動時間の測定(動的脚力)

座位からの立ち上がり時間は膝関節を90°に屈曲した座位姿勢から立位姿勢にいたるまでの所要時間を1回(Test1)および3回連続(Test3)、5回連続(Test5)の3種類の運動について測定した。測定は、足裏、殿部を床につけ膝関節の角度を90°に保った座位姿勢の状態から立位姿勢にいたるまでの所要時間を測定した15)

 

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研究結果

骨密度の結果は全身骨塩量が2028.2±300.6g、全身骨密度が1,061±0.1g/cm2、脚骨塩量が708.2±108g、脚骨密度は1.070±0.11g/cm2であった(表1)。閉経による影響についてみると、骨密度の結果と閉経開始年齢、閉経後の経過年数との間に有意な相関関係はみられなかった(図1,2)。筋力についてみると脚伸展筋力は38.9+12.2kg、脚屈筋力は16.8+6.4kgであり、絶対値においても体重1kg当りの値のいずれにおいても測定された骨塩量、骨密度との間に有意な相関関係はみられなかった。座位からの立ち上がり運動に要した時間は、1回および3回連続、5回連続のいずれの所要時間とも脚伸展筋力および脚屈筋力との間に有意な相関関係はみられなかった。さらに、いずれの所要時間とも測定された骨塩量、骨密度との間に有意な相関関係はみられなかった(図3)。

 

考察

ヒトの骨量は30〜40歳代まで増加を続けた後は加齢にともない減少する。特に女性においては、骨形成の促進や骨形成の抑制に関係するエストロゲンの分泌量の低下による骨量の減少がもたらすカルシュウム吸収の低下と身体活動量の低下により骨密度は閉経期付近から急激に減少することが知られている3,11,16,17)。しかしながら、本研究の対象者においては前年度の報告14)にみられたような全身骨密度と年齢との間の負の相関関係はみられなかった。また、開経直後の骨密度の減少率は大であり、さらに、同年代における閉経期間と骨密度の間には負の相関関係がみられ閉経後の経過年数の長い者ほど踵骨骨密度が低いとする報告もみられる12)。しかし、本研究の対象者においては閉経

 

 

 

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