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一方、加齢にともなう身体活動能力の変化が歩行能力によって簡便にとらえられること、下肢の筋力が歩行能力と高い相関関係にあること、運動習慣のない中高年女性でも、運動が習慣化すれば歩行能力および脚筋力に有意な改善が観察されることなどを示した岩岡班は、高齢者の「転倒」を視野に入れて、13〜72歳の女性61名を対象に、動的平衡機能の評価に、反復横跳びがフィールドテストとして可能性があることを示唆した。

 

柔軟性

立位体前屈と長座体前屈の関連を検討した内藤班を引き継いだ形本班は、柔軟性を含めた健康関連体力パッテリーテストの成績と、健康診断のための一般的な血液検査との結果を、326名の中高年女性(49±7歳)を対象として検討した。その結果、立位体前屈と血液性状との間には、健康の保持増進に寄与すると考えられる有意な相関関係は認められず、腰痛との関連でのみ検討される項目であることが示唆された。

 

体力と健康指標

これまで40、50歳代の男性を対象に、医学的な正常値を点数化した健康指標得点と体力の関連を検討してきた鈴木班の今年度の対象は、20〜30歳代の男性(30.4±4.3歳)2,093名であった。その結果、?@血圧、尿糖、肥満度、運動習慣、総コレステロール、喫煙習慣を評価した得点が不健康者のスクリーニングに優れていること、?A同得点が増すほど体力テストの成績が低下すること、?B体力要素別に健康上好ましくないと考えられる境界値を、得点が3または4で設定できることが明らかになった。

一方、30歳以上の成人や中年の高度肥満女性を対象に、体力水準と健康に関わる医学的検査データとを検討し、運動習慣、体力水準および血液性状の三者に強い関連のあることを明らかにしてきた堀田班は、今年度は日常生活で良く歩いている比較的身体活動の高い65歳以上の男性21名、女性41名を対象に、体力および血液の生化学的指標との関係を検討し、高齢者の健康保持に歩行の重要性を示唆した。

 

 

 

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