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整の困難さが相乗し、高年群では操作調整の退行による運動成果の低下がみられたと報告した。

 

3. 両足回り跳びにおける運動調整能の発達;渡辺・長谷川・森下、体育科学24:発育と加齢の科学、109-117, 1996.

本論は、運動調整能テストの1つ<その場回り跳び>について、幼児から青年までの遂行様式を、頭部・体幹との位相差、回転角度、滞空時間などについて分析し、調整能と筋パワーとの関わりを考察したものである。結果から、3歳児では頭部・体幹との位相差がなく、[跳び上がる]と[回る]のどちらか1つしかできないが、10歳頃になると成人型の身体調整が可能になること、13・14歳で筋パワー系の指標である滞空時間がピーク値になることを報告した。

 

4. 脊柱の屈曲・伸展域の年齢推移;森下・高木・大野、体育科学25:発育と加齢の科学、97-10, 1997。

本論は、ヒトの脊柱各部位の屈曲・伸展域を0-75歳についてVTRで記録し、その年齢推移を比較したものである。屈曲に比べ伸展では年齢変化が大きく、伸展の優位な部位は頭部から尾部にうつること、そのさい運動習慣は、屈曲には効果があるが、伸展にはみられないことを報告した。

 

5. 成人女性の静的姿勢調整に与える軽体操の効果;高木・森下、体育科学26:発育と加齢の科学、86-102, 1998.

本論は18-69歳の女性を対象に、軽体操の前と後で姿勢にどのような変化があらわれるかをみたものである。「よい」と思う姿勢に、体操の前後で改善があり、軽度の運動では身体意識にまず変化がみられるといえるが、年代差はないことを報告した。

以上、身体調整能・筋骨格系の柔軟性・筋力パワー・身体意識など身体内部の諸機能と、外に表れた姿勢や動作との対応が、年齢にともなってどう変化するかをみてきた。結果から、幼少期には身体調整能・筋骨格系の柔軟性が、青年期には筋力パワー系が優位に働き、高年期にはそれら器質的退行を補償する身体的・心理的メカニズムが示唆された。

 

 

 

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