(3) まとめ
本水槽の特性を図1-17に示す。これは、造波開始から十分な時間が経過した波高(平均値)と、造波開始直後の反射波のないと思われる部分の波高を比較したものである。各波長で設定波高が最大のデータを選んで波長ごとに比較した。また、参考として反射波が入らない波高を理論的に推定した結果も付け加えた。
縦軸と横軸は、それぞれ実測波高と波長(周期)を表す。記号の意味は以下のとおり。
○ : 造波開始から十分な時間が経過した波高(平均値)
△ : 造波開始直後の波高
□ : 反射波なしの理論計算値
十分な時間が経過した波高(○)は造波直後の波高(△)と比較して、反射波の影響を大きく受けている。特に波長6mの場合は、波長が水槽全長の1/2となり、反射波と入射波が同調して波高が大きくなる(定在波の発生)。このため、十分な時間が経過した波高は大きくなり、造波直後の波高との差が最も大きい。同様の傾向は、波長8mの場合にも見られる。また、十分な時間が経過した波高が、造波直後の波高に比べて非常に低い波長5,7、9、10mでは、造波板の動きと反射波の位相の関係で波が減衰する。
このように、本水槽は反射波の影響を大きく受け、また、水槽の長さが短いため、波の同調現象(定在波)が発生しやすい水槽と言える。