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考えなければいけません。

看護の立場を考えたときには,ナイチンゲールがいっていますように,「真の看護が感染を問題とするならば,それはただ感染を防止するということにおいてだけである」というまさにそのことです。いま抗生物質が万能でないという問題,VRE,バイコマイシンにやや耐性のMRSAが出たというようなことを考えるときに,感染を防止しなければいけない,感染が出たからどうしようかというものではなくて,考え方を切り替えていかなければいけない時期にきているのではないかと思います。その中では看護の役割が大きいと考えています。

臨床の場で易感染患者とはどういう人なのかを見ると,年齢の高い方,皮膚・粘膜のバリアが障害されている人,手術を受けた患者さん,褥瘡を持っている患者さんと,私たちがケアしている対象は,ほとんど該当しているのではないかと考えられます。

 

環境と空調

環境と院内感染について触れておきましょう。一般社会では人間の抵抗力が大きいことと併せて,菌の量が少ない,接触時間も少ないということで,リスクが非常に低くなります。一方,病院に入ると菌との接触度合いも強くなりますし,菌の毒性も高いものがあったりということでリスクが高くなる。集中治療室などになると,もっと感染リスクが高くなっていきます。

環境についてこのように考えると,では病室の消毒をしなければ患者さんを入れられないかという問題が起きてきます。1970年代に環境の菌数と院内感染の発生には大きなかかわりはないという研究がたくさん行われています。また定期的な環境の培養はいらないということが1988年のCDC(Center for Disease Control&Prevention)ガイドライン

 

 

 

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