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院内感染防止のために

ナースができること

 

柴田 清

聖路加国際病院感染管理婦長

 

院内感染は患者も職員も

私は専任で感染管理の仕事をしておりますので,院内感染をどのように防ぐかという立場でお話しいたします。

病院の中で起こった感染,また入院中に受けた感染を院内感染といいますが,院内感染を受けるのは患者さんだけではなくて,病院にかかわるすべての人を含みます。まずこのことを念頭に置いて下さい。院内感染イコールMRSAといった誤解があるようですが,院内感染は院内で受けるすべての感染をいっているということです。

院内感染が起こるとどういった不利益が病院に生じるのかということですが,たとえば訴えられれば法的なリスクを受け,それが公表されたことによって病院のイメージが低下する,つまり,社会的なリスクを受ける。

それから経済的な不利益もあります。経済的なリスクというのは,入院期間が延びることによって健康保険の点数が下がるという問題が出てきます。しかし何よりも患者さんの不利益,感染した本人の不利益を

 

 

 

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